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さよならから始まるゲーム3

さよならから始まったゲームをツキノワグマが取り囲むかのように、選手は円陣を組み固まった。
けれども、その円陣はどこか角ばっていて四角い円卓会議のようだった。
あるいは、尖った円盤、半径を失った円のように見えた。
まとまらない会議を収めようとした議長が半径を隠すことによって、なおさら混乱を深めていった円卓会議を、必死で取り囲む選手たちの作った輪の広がり。
そんな円陣だった。
両腕を鷺のように広げ両脇の右肩と左肩の上に乗せる。
肩の上に乗っているのは確かに手だった。
けれども、それは一人の人間の手ではない。
それ以上の重さをみなが感じていた。
それは観衆の期待と希望だった。
重力におしつぶされそうな、肩と肩が石のようにぶつかり、熱を放出していた。
その中で、響き渡ったのは月の大地にまで近づけそうな気合の掛け声だった。
「ゲームはまだ始まったばかりじゃないか!! 」
そして、再び各守備位置へと戻っていった。
舞い散る雪のように、胸を打つ波のように。
「ゲームはまだ始まったばかりなんだ」
紙くずの勇者が同じようなことを言った。
ベンチの奥で落着きなく、瞬きをしていた。
「始まったばかりなんだし、始まりに近づいてるんだし」
その声は、戸惑いと憂いのこもった木琴のように響いた。
そして、救えないリリーフカーの車輪の音にかき消されていった。

さよならから始まったゲームの中で、紙くずの勇者は審判に食ってかかっていた。
「このゲームの進め方は間違っている!! 」
ヘルメットをかぶった審判は、右手を握り締め紙くずの勇者を追い返した。
「おまえに発言権はない。言っていることが正しくても、正当でも」
スタジアムは悲鳴、怒声、ささやき声に包まれていた。
火だるまになったピッチャーがタンカーで運ばれてマウンドに戻される。
3回裏にしてノックアウトされ、マウンド上で炎上したのだった。
相手チームは、ベンチの前で見知らぬランナーたちを、出迎えていた。
一人、二人と選手がホームベースを踏んで三塁方向に戻っていく。
バッターはベースを一周して戻ってきた。
バックスタンドから放物線を描いてホームランボールが戻ってくると、
それを炎上したピッチャーに打ち返した。
突然満塁の状況が作り出される。
2アウトランナーなしから、どこからともなく浮き出てきたランナーが、ベースの下に潜り込んでいった。
バッターはネクストバッターズサークルを通り過ぎベンチに引き下がる。
ものすごい速さで、ゲームは逆流を始めていた。
「バッター アウト」
黒いヘルメットの奥から、審判が怒ったように言った。

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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

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「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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