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さよならから始まるゲーム2

さよならから始まるゲームに目もくれず、ロボモフはうつむいたまま絵本の中に没頭していた。
「せめてお名前だけでも・・・」狼の少年が、絵本の中で懇願する。
ブラックタイガーはそれでも冷たく言い放った。
「おまえのうそはもうたくさんだ。本当はジャガイモの煮崩れの方を気にしているくせに」
そう言いながらあきれ果てた顔で、ホワイトペッパーをまき始めた。
機械仕掛けのロボモフはむせそうにになって、本を閉じた。
虎の顔がつぶれるような音を、応援歌の歌が打ち消すようにかき消した。

かっ飛ばせ ぶっ飛ばせ 
音速旅客機ですっ飛ばせ
かっ飛ばせ もっと飛ばせ
音速バイクで吹き飛ばせ
旅に出ろ 旅に出ろ
かわいい選手ほど
旅に出ろ 旅に出ろ
かっ飛ばせ ぶっ飛ばせ
もっともっと旅をさせろ
旅は道連れ 心はひとつ

機械仕掛けのロボットは耳を塞いだ。
応援団の振る旗が、アロサウルスの尻尾のようによろめき、はためいた。
「急ごうロボモフ。黒の狐が近くにいる。
 試合が始まりを終えるまでに見つけなければ」
紙くずの勇者が、ロボモフの肩を力いっぱい叩いた。

さよならから始まったゲームは、中盤の折り返し地点をゆっくりと引き返すところだった。
けれども、このゲームにはハーフタイムはおろか、給水ポイントさえなかった。
なぜなら、水ならほとんど好きな時に飲むことができたからだ。
無得点のまま攻撃を終えた選手たちが、再びランナーとして累を埋め、2アウト満塁のチャンスを作り出す。
見逃し三振でバットを叩き折ったバッターはバットをくっつけ、再びバッターボックスに戻ると、ボールはピッチャーの手元に戻った。
「見逃すことを知らない方がどれほど良かったことか」
ピッチャーを挑発するようににらみつけた。
「おまえはバットを振ることもできず、ただバットを割ることになるだろう」
監督はバッターに適切なアドバイスを送った。
前向きな助言が、逆に選手を苦しめてしまうことを監督は知っていたのだ。
「監督。この試合は中盤を支配されています!! 」
ベンチの裏から紙くずの勇者が叫んだ。

真昼の太陽がさよならから始まったゲームを静かに横切っていた。
あるいは、じっと見守っていたのかもしれない。
応援席からの鳴り止まない拍手が鳴り始めることをようやく終えた。
2累をかっさらい、何事もなかったような顔で拳を握ったランナーは、再び一塁ベースに戻ると、肩で牽制球を警戒しながらゆっくりとリードをとっていた。
その目はいたずらっ子ライオンのように2累ベースを狙っていた。
そしてバッテリーに向かって歌いながら、リードを広げたり縮めたりしていた。
・・・・・・・・・・
もしもセカンドベースが
ホームベースだったら
さよなら盗塁できるかな
みんなにさよなら言えるかな
もしもセカンドベースが
俺の家だったら
ちゃんと家に帰れるかな
世界一のキャッチャーから
セカンドベースを盗めるのは
俺だけさ
みんなに褒められる泥棒さ
もしもセカンドベースが
ホームベースになったなら
さよなら盗塁できるかな
ちゃんとさよなら言えるかな
もしもセカンドベースが
誰かの家だったら
オームステイできるかな
世界一のキャッチャーから
セカンドベースを盗めるのは
俺だけさ
誰も傷つけない泥棒さ
一番の歌が始まり終えると、一塁を駆け抜けホームベースに戻って行った。
彼のセイフティバントはわかっていても止められないのだ。
風を味方に進む、空の騎馬隊のようだった。
けれども、何かが崩れたスクラムのように、ゆっくりと組み固まっていくように空気が流れた。


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おかしな比喩を探し求める内に
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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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