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白猫の夜

まだ夜は黒く、黒いから夜だった。
壁と壁の間の人が一人通れるか通れないかという細い道。
そんな道が好きだ。
猫は駆け抜ける。
目的地を目指して、ジュニーニョよりも速く。
人が知らない宝の在り処、それを見つけるのが猫の才能だ。
人気のないのを確認するため、壁の隙間から小さな首を出した。
誰もいない。
よし、行こう。



綺麗な服を着たら
きっと綺麗になれるから
綺麗な服を作ってキミにみせた
キミは一言
奇妙な服だと言った
私は安らぎが欲しくなった

奇妙な格好で始まった
旅はどこまで行っても安らがない
奇妙な運命の受け入れ先は
冬の星座には含まれないから
私は冬から脱皮して
優しい人を目指したんだ

優しい人と一緒なら
きっと優しくなれるなら
キミはきっと優しくはなかった
だから私は
さようなら
綺麗な服はもういらない

白い猫で出発します
きっと夜の中で
見つけてください




そこには、先客が待っていた。
猫とは違う形をしていた。

「おい、黒カラス。宝物は見つかったかい?」

「なんだい、白猫。ここには何もないぜ」

カラスは口先だけの嘘でごまかせると思っているようだった。
バケツをひっくり返したような宝探しの中にいて、動かないことが動かぬ証拠のように思われた。
猫は、まっしぐらに突っ込んでいった。
宝物の真ん中に向かって、あるいはカラスそのものへと……。

その横顔は、死より光を追い求めるランナーのようだった。

けれども、それより凄い勢いで闇が舞い降りてきた。
それは黒いカラスの集団だった。
黒い飢えは、みんな我先に宝を求めて尖った口先を下ろしていく。
猫は、三歩ほど下がった場所でその光景を眺めていた。
空がだんだん自分と同じ色に変わっていく中で、自分自身もまた急速に醒めていくような感覚を覚えた。
もう、朝か……。
帰って、眠ろう。








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テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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