スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

猫の代名詞

そんなに寝てばかりいると、豚になるよとお婆さんは言う。
眠ったくらいで豚になるということがあるのだろうか?
まどろみながら猫は、考えていた。
もしもそうなら眠ることは、生まれ変わることに似ている。
毎日が生まれ変わりの連続で、夢見ている間に自分の夢見る姿に、あるいは恐れるものに形を変えていくのだ。
目覚めた瞬間、別の自分になる。
心も……。
猫は、自分が巨大な人間になることを想像して一瞬ギョッとした。

*

少し豚になってきたのではないか……。
食べること夢見ること、猫にとってそれは自分が歌うことと同じように大事なことだ。
お婆さんは、十分に理解しているつもりだったが時々猫のことを心配して小言を言ってしまう。
豚汁を飲み終えて、新しい歌を考えた。
けれども、今は何も浮かばなかった。
猫の姿を眺める内、なんだかお婆さんも眠たくなってきた。



ブタといったらかわいそう
あの子とってもかわいそう
なぜならあの子は
ブタなんかじゃない

そんなこと言ったらかわいそう
あの子がとってもかわいそう
どこからみてもあの子
ブタなんかじゃない

ブタと言う奴がブタだよ
だからあの子に謝りなさい
ブタなんて呼んだこと

*

私ブタです
人が名づけてくれました
選ぶ余地もなく
私はブタです

時々人が人のことを
私の名で呼ぶことがあるけど
呼ばれた人が泣いているのをみて
私とっても
泣きたくなるのです

それでも
私ブタです
牛でも猫でも人でもなくて
私ブタです




猫は目を覚ますとまずは一安心した。
どうやら自分は、人間なんかにはなっていない。
いつものように猫のようだ。
自分が自分であることだけでこれほど嬉しい自分に少しだけ驚いた。
そして、牛になったお婆さんを見て今度はもっと驚いた。
ひとのことを心配していたお婆さんの方が牛になってしまうなんて!
牛は、ゆっくりと猫の方に歩み寄ってきた。

その横顔は、前世と来世とミルクが入り混じったように揺らいでいた。

「モー モー ……」
そして
「ンモー、」
などと話しかけてくる。
けれども、牛の言葉は猫にはまるでわからなかった。
猫は、近づいてくる牛を十分に引きつけてから、ひらりと身をかわした。
久しぶりに、いい運動になりそう だった。












スポンサーサイト

テーマ : 詩・唄・詞
ジャンル : 小説・文学

Comment

非公開コメント

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
リンク(相互、片道、色々…)
最近の作品
最近のコメント
プロフィール

junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

最近のTB / 返詩
そんなカテゴリー
折り返し地点

『折句ストレート』

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリー素材のある場所

・天の欠片
・e-素材web
・素材屋さんromance.com
・アイコンワールド




RSSフィード
月別アーカイブ
フリースペース

フリー百科事典
『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























ブログ内検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。