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イマジン

押入れの中は、未開の森のようだ。
底知れぬ闇が、その奥深くに広がっている。
かつては猫も、その中で眠っていたことがある。
けれども、その一番深い場所までは一度も行くことはなかった。
久しぶりに、本当に久しぶりにお婆さんは押入れを開けた。
バサバサと音を立ててコウモリが出てきた。
猫が超音波を出して威嚇している間に、お婆さんが窓を開ける。
コウモリは列を成して出て行ってしまった。
代わりに入り込んできたのは、白い風だった。



書かなかったのではない
書きかけて書きかけて
書けなかったのだ

いくつもの迷いの中で
本当は……

言わなかったのではない
言いかけて言いかけて
言えなかったのだ

いくつものためらいの中で
本当は……

何もしなかったのではない
何かを
しようとして
しようとして
できなかったのだ

何度も何度も
迷いためらい
打ち消された物語を

僕らは
読まなければならない

張り裂けそうな
苦しみと闘いの果てに
傷ついた静寂を

僕らは
わからなければならない

少しだけ

心を広げて




お婆さんは、押入れの中から取り出した風呂敷を広げた。
中から出てきた箱は、お婆さんの歯の色に似ていた。
しわしわの手を広げて、箱の端を持ち上げようとするが開かない。
どうやら、開き難い箱のようだ。
猫も近づいてカリカリと爪を立てたり、ウーウーと唸ったりした。
そして、お婆さんは部屋が寒いことに気がついて、さっき開けた窓を閉めに行った。
それからトンカチを持って戻ってくると、トントンと箱の端を叩き始めた。

トントントン  トントントン ……
トントントン  トントントン ……
トントントン  トントントン ……

そうだ、これは箱ではなく、太鼓だ!
猫は、トントン拍子に合わせて踊り始めた。

その横顔は、酔っ払ったドラキュラのようだった。

猫のお腹がグーグーと鳴り始めた頃、太鼓の演奏が終わった。
太鼓の中から、一通の手紙が出てきた。
それはきっとラブレターだ。
猫は、ピンと来た。
お婆さんは、猫に聞こえないように手紙を読み始めた。

けれども、こっそり覗いてみる。
見覚えのある字だ。
猫は、更に首を傾けた。













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テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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