飛び廻りの神様
2008-03-28 Fri 14:58
願い事を考えているうちに、時間ばかりが過ぎてしまう。
だから、今年お婆さんはまだ神様に会っていない。
それでも本を開けば、所々で神様が出てくるような気がした。
それは人の作り出した神様かもしれないけれど、時にそれは信じてもみたいような神様だった。
この寒い季節には……。
ベンチの上で、お婆さんは本を読んでいる。
『さかあがりの神様』……
そんな神様も、いるのかもしれない。



たった一本のマッチが
一夜の闇を灯す時に
たった一行の比喩が
ひとつの傷を癒す

温かく灯された時間
久しぶりに
生命は沸き立っている

されど
一本のマッチは
短く
儚く
脆い

たった一本のマッチが
ひとりのキミを照らす時に
たった一行の比喩が
ひとつの影をつくる

行き先を決めかねた夜
不思議と
生命は踊りだしている

されど
一本のマッチは
脆く
儚く
折れやすい

頼りにするには
あまりにも




味方からパスを受けた猫は、芝居がかったフェイントでDFをかわした。
勝負の世界の中では、正直者は損をする。
キャットサルでも、それは同じだった。
そして味方からの信頼を得るためには、ゴールを決め続けるしかない。
飛び出してきたキーパーを確認すると、左足でちょこんと浮かした。
無猫のゴールにボールは吸い込まれていった。
ゴール!
猫はクルクルと廻って喜びを表現した。

その横顔は、永遠のガラガラ抽選会のように感動に満ちていた。

回転の中で、猫はベンチの方を見た。
けれども、お婆さんは本の中にいた。(何回転目かのさかあがりの途中に)

猫は廻る。
廻り続ける。
感動のプロペラは、廻ることをやめてしまった時、
前には進めなくなってしまうから……。
やがて飛ぶまで、
猫は廻っていた。









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