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マネキン14号

午前3時の球技。
昼間動くことを禁じられていた、その鬱憤を晴らすかのようにマネキンたちは暴れまわった。
試着ルームをゴールに見立て、激しくゴールを狙う。
マネキン14号が高くジャンプしながらシュート態勢に入ったところに、長身のマネキンが体をぶつけた。
勿論それは、ルールブックによると禁止になっている。
暗がりの中で、中途の笛が鳴り響いた。

まるで警報のベルが作動したかのようだった。
猫とお婆さんは、身を寄せ合って身を伏せていた。
猫の光る目が、いつ彼らに生命の存在を知らせてしまうことになるかハラハラしながら……。
閉店に出遅れてしまったデパートの7階で、二人が目にしているものは決して見てはならないもの。
あるいは、目覚めぬ夢だった。



猫のトランポリンが
優しさではじける時
あっちこっちで
笑いの空が舞う

イルカの枕が
空しさで乾いた時
あっちこっちで
笑いの海が咲く

それから羊が
子守唄を歌い終えたように
静寂が押し寄せて

リターンのないサーブを
僕はうつ
うつ
うつ


ウ冠を被った幽霊が
孤独の靴を落とした時
あっちこっちで
笑いの風が立つ

トンネルを抜けた渡り鳥が
奇跡のくじを引いた時
あっちこっちで
笑いの春が弾む

それから亀が
上り坂を駆け上がるように
静寂が押し寄せて

突っ込みのない相槌を
キミはうつ
うつ
うつ


箸が転げても笑えるならば
夜が明けても笑えるならば
本当は僕らは必要なくて

本当に必要なのは
失った人

本当に
必要なのはもう
笑えなくなった人

マネキン14号に

僕は
うつ




バランスを崩しながら投じたマネキン14号のシュートは、転々とコロげて猫の手元にやってきた。
お婆さんが制止するよりも早く、猫はボールを投げ返した。(あるいは、蹴り返した)
もう、猫は十分に熱狂していたのである。

「誰だ!」
声を上げたのは、人間だった。
やはり警報ベルは作動していたのかもしれない。
昼色の懐中電灯がマネキン達のお祭りを、全裸にしてしまうかもしれない。
その時、猫はなぜか自分から声を上げて大げさに動き始めた。
(警備員さん、こっちだよ……)
そしてお婆さんは、お婆さんで、ゆっくりと制服の背後に近づいていった。
トントンと肩を叩く。
恐る恐る振り返った男に、

「うらめしや~」
両手を上げて、キツネのお化けの真似をしてみせた。

その横顔は、三つ目のキツネがおねだりをしているようだった。

警備員は、あまりの恐ろしさに、出た~と叫びながら逃げ出していった。
猫は、キツネの足下でピョンピョン跳ねて喜んだ。
人間的な笑い声がフロア中に広がっていたけれど、お婆さんにも聴こえないのかもしれない……。
マネキン14号の手の中で、猫の返した球体が、
微笑みを取り戻すのが見えた。




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テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

Comment

お久しぶりです

こんばんは☆彡
ホントにご無沙汰しています♪
もう少し、日記頑張ってみようと思います。
あの時はコメントどうもありがとう♪
励みになりました☆彡
まだ色々と考えることとかはあるんだけど、それでも少しずつ前のように、誰かを笑顔にさせられる創作が書けるようになればいいなとおもいます♪

お久しぶりです

麻葵さん、お久しぶりです♪
良い知らせを、運んでくれてありがとうございます!
半分は、僕の愚痴みたいなものだった気もするけれど(^_^;)
役に立てたらうれしいと思います。
文脈の中には人間が生きていて、だから人は何かを書いたり読んだりするんだし、言葉は映像や音楽に比べて浅くもなく非力なものでもないという気がしてきました。
麻葵さんの文章は、とても好きです。
誰かを笑顔にできれば、きっとそれは創作者の幸福でもあると思います♪
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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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