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仮装日和 

ここにいては危険だ。
うまい棒をひと振りすると、カボチャのバスが現れた。
猫とお婆さんは、早速乗り込むと二人用の座席に腰掛けた。

「運転手さん、行ってください」

運転席の小さなカボチャが頷いて、カボチャのバスは走り出した。
後ろから、玩具のパトカーが追いかけてくる。
玩具なのに、物凄いスピードだ。
カボチャのバスは追いつかれてしまうかもしれない。

「運転手さん、飛ばしてください」

すると、小さなカボチャは頷いて、カボチャのバスは翼を現した。
宙に浮き始めると、窓から勢いよく風が吹き込んでくる。
猫は、思わずお婆さんに身を寄せた。



キミは僕と
似た形

だから僕は近づいた
分かり合えることが
きっとあるはず

だけどびっくり
キミは全然違う

一つ一つ学んだ形
形だけでは
わからない世界


キミは僕と
違う形

だから僕は近づいた
教えてもらうことが
きっとあるはず

だけどがっかり
キミはそんなに違わない

一つ一つ覚えた形
形だけでは
とけない世界


僕の今は
仮の形

キミは本当は
嘘の形

世界はまるで
玩具の形

形という手掛かりを
追いかけるしかない
僕たちの前で

形は
時に緩やかに
時に唐突に
変わっていき

戸惑いの中で
落ちていく

僕たち

本当は
飛べるはずの形
小さな手を
伸ばす

形ある生き物として

形のない何かに向け




猫の憧れていた、空の旅が始まった。
あっという間に、街の建物が玩具のように小さくなって窓から雲が入り込んできた。
ふわふわ柔らかで、おいしそう。
爪で切り裂いて、猫はむしゃむしゃと食べた。
わたがしの味を想像していたけれど、布団のような味だった。
賞味期限が切れていたんだ……。
猫は、幻滅してつばを吐いた。

ウーウーとサイレンの音が鳴り響く。
空の上までも追いかけてくるとは、ふざけたパトカーだ。
無数の玩具のパトカーに、カボチャのバスは取り囲まれていた。
どこにも逃げ場はない。
小さなカボチャの運転手は、諦めてブレーキを踏むと、
バスは月のように宙に留まった。
パトカーから、妖精に扮した子供たちが雲を渡って近づいてくると、
お菓子をくれと騒いだ。

「さもないと、がやがやと大騒ぎだぞ!」

けれども、お婆さんは保安官に扮していたのだ。
悪い子供たちを、次々に逮捕しはじめた。
犬のおまわりさんに扮した猫は、困った様子で見ていた。

その横顔は、回りくどくコーディングされた言葉のように険しかった。

逮捕されたはずの子供たちが、カリカリと手をかじり自由を得ていた。
お婆さんの手錠は、お菓子の「なげわ」だったからだ。
そして、猫の心配通りにがやがやと大騒ぎが始まると、カボチャのバスはやがて狂ったトマトのようにバランスを失っていった。

猫とお婆さんは、意を決してダイブを敢行した。
その時の二人は、仲良く皇帝ペンギンに扮していた。
きっと大丈夫さ……。
ヒレ状の翼を精一杯に広げ、降下していく。
ゆっくりと、形を見せ始めた街は、
まだ、玩具の街だった。



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テーマ : 詩・唄・詞
ジャンル : 小説・文学

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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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