心 の 隙 間 か ら 出 て お い で
猫のハードル
2007-08-28 Tue 17:27
銃声に驚いて、猫は飛び出した。
速い、速い。
やっぱり猫は速い。
世界的選手をあざ笑うかのように、猫は速い。
高いハードルも、
問題じゃない。



高すぎるハードルの前で
僕は立ち尽くし
不安になる

跳べない
跳べない

進めない

上がっていくハードルを
見上げたまま
臆病になる

跳べない
跳べない

越えられない

みんながどんどん跳んで行く
みんながどんどん逃げて行く

いつまでも
僕が

置いてきぼり




アメリカを、ロシアを、為末を置き去りにしてゴールに入った。
一等だ、金メダルだ!
お婆さんを連れてウイニングランの猫は、心躍っていた。

その横顔は、結末を知らないラストサムライのようだった。

それからお婆さんの耳に、失格の知らせが届いた。
ハードルの下を潜るのは、反則らしい。

「その気になれば、あんたは跳べただろうに……」

お婆さんは、結果を受け止めながら、
しばらくの間、猫には黙っておいた。





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