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猫とボウリング

よっこらしょっ、と両手で持ち上げる。

「そーりゃー!」

お婆さんは、爆弾を投げ込むように球を投じた。
筋書きを忘れたドラマのように、どんどん横に逸れていく。
溝に落ちてしまう運命を変えられるとしたら、それは猫だった。
猫は、猛スピードで球を追いかけ追いついた。
そして、小象のように球に跳び乗って進路を正した。
回転する球体の上でバランスを取りながら、操り進む。
倒すべき目標が近づいてくる。
猫は、覚悟を決めているようだ。



倒れても
倒れても
きみはまた立ち上がる

みんなの前では
きみは不死身

倒されるために
何度も
起き上がる

倒れそうでも
倒れそうでも
きみは持ちこたえる

頼れるきみは
最後のひとり

迫り来る球体を
静かに
待ちわびる

幾度も繰り返し
きみは
倒れる

その瞬間に
弾ける音と共に

喜びを
演じながら




「ストライーク!」

お婆さんは、一瞬喜びを爆発させた。
猫の姿はなかった。
一つの勝利の代償に、燃え尽きてしまったのだろうか……。
なんてことだ、なんてことだ。
お婆さんは、掲げた拳を下ろすと口を覆った。
平らな場所を、溝の中を、穴の奥を視線が彷徨う。
再生される10本の中に猫は混じっていないだろうか?
けれども、その白さの中に生命を見つけることはできなかった。

マイボールが音を立てて戻ってきた。
それに続いて猫が、
少し腹を立てながら戻ってきた。

その横顔は、薄っぺらな勝利のようにペチャンコだった。

嗚呼、神様!
お婆さんは平べったい猫を拾い上げた。
猫は、再び丸みを帯び始める。




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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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