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四次元の18番

助っ人はいつも、僕らのエースになる。
残り3分で、僕らのチームは1点負けていた。
僕らは藁にもすがる思いで、彼にボールを預ける。
その日、僕らのエースは18番だった。

「18番だけだぞ!」

敵チームのベンチから怒号のような叫びが上がる。
的確な指示によって、18番は囲われるようになった。
まるでクラスの人気者のように……。

18番は、影のように体を伸縮させて敵の一人をかわした。
続いて2人、3人と寄って来る中を、波のように体を揺らしながら、
ボールを運んだ。
敵はただ付き人のように、着いていくのが精一杯で、
頼れる18番は、ボールを失わなかった。
二次元vs四次元のプレーであるように、
彼の足だけ別次元で跳ねていた。
3人を引きずりながらも放ったシュートは、惜しくもバーを越えた。

「18番だけだぞ!」

真実は、繰り返し連呼しなければならないというのか?
時間だけが吸い取られていく真緑の芝の上で、
僅か1点のビハインドが、巨人の足のように重くのし掛かっていた。
7月の太陽の下で、僕らは、
神頼みのような攻撃を、何度も繰り返した。
けれども、18番は敵全員に囲まれるようになっていた。
まるでアニメのルパンのように……。



 よく見てごらん
 僕もここにいるよ

 見えないか?
 気づかないか?

 ずっと前から
 僕は
 ここにいるよ

 告白するよ
 僕もここにいるよ

 知らないか?
 恐くないか?

 どこにも行かない
 どこにも隠れない
 憎まれたいほど
 ここにいるんだ

 初めから
 僕は
 ここにいるよ

 透明か?
 空気のようか?

 見逃しておきな

 最後に
 僕が

 飛び出して

 決めてやるから




終末の予感が、焦りを生み、
焦りが、ミスにミスを重ねさせた。
もしも、それがミスバーガーなら、誰も食べ切れないほどに……。
届くはずもないパスが、容赦なくカットされた。
18番は、まるで国境を越えた遠い場所に位置しているように、
僕らのスペースは悲劇的に分断されていた。

もう時間はない、
と思われたその時、僕は中盤でボールを持った。
左に流れて左足でシュートを打ってやる。
僕は決めた。心に決めた。
イメージ通りに、
左に切れ込んだ。
切れ込んだのはボールだけで、
体があと半分追いつかなかった。
最後のシュートは、僕には打てなかった。
そしてその時、終了のホイッスルが僕らの時間を止めた。

大人しく整列してチーム同士で握手を交わす。
けれども、不思議なことに、
相手チームは皆、18番にだけ手を差し出した。
その時、僕は悔しかったけれど、
本当のことを知って、
なぜか少しうれしかった。


彼らは、本当に、
18番しか見えていなかったんだな……。




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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
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今日も散らばって行こう
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「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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