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幸せのかけら

雨はいつの間にか上がっていた。
そればかりか遊園地は光を取り戻し、今はまた多くの人々で溢れていた。
おいしそうな匂いに、猫もお婆さんも吸い寄せられて。
タコ焼き屋の前を通ると、売れ残ったタコ焼きがタコ焼きの上に乗り、
そのまた上にタコ焼きが乗り……。
そうして、それはピラミッドのように高く夜にそびえ立っていた。
何だかもう、お腹がいっぱいになったような気がする。
そして、二人はコーヒーカップの中にいた。



色とりどりの金平糖の花束

チョコレートボンボンの宝箱

艶めくドロップスの小壜


焼きたてのクッキーの香り

ことこと煮込んだジャムの輝き

茶葉が楽しげに踊る紅茶


小さな幸せは

そんな

優しげなティータイムに似ている


ふとしたときに思い出す記憶

ささやかなことで微笑む顔

積み重なっていく幸せのかけら


小さな幸せは

そして

優しげな想いの中に広がっていく




今度は、猫も一緒に廻った。
ミルク色のカップの中で、お婆さんはモグモグと口を動かしていた。
甘い香りが、カップの中に溶け始める。
猫はクルクルと廻るカップに興奮しながら、同時に少し不安な気持で辺りを見渡した。

その横顔は、ティータイムから零れ落ちる砂のようだった。

今度は飛んで行かないだろうか?
ピエロは、馬たちは元気で生きているだろうか……。
猫は、遠く夜を見上げた。
幸せのかけらのように、星が散らばっていた。
お婆さんの手の上にある、ドロップと同じ色だった。
また一つ、お婆さんはそれを口にする。





                文…junsora
                詩…あーるぐれい



『どこにもかえらない』 
一万ヒット記念、リクエストより頂きました。

「雨のメリー……」「掛け声」そして、「山積みの幸せ」と、
立て続けにお応え頂き、感謝です。

最初の「幻の遊園地」の雰囲気が、とても気に入ってしまったため、
お話も遊園地で遊ぶ、小猫的な三部作になっていました。
最初が入れ替わっていたら、また違っていたのだと思います。
世の中はちょっとした順序の違いで、話が大きく変わったりします。
そうした発見に触れる度、嬉しくなったり、
とても不思議な気持にさせられます。
そんなプレゼントが、詩そのものかもしれません。

あーるぐれいさん、ありがとうございました。


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テーマ : 詩・唄・詞
ジャンル : 小説・文学

Comment

こちらこそありがとうございましたv

こちらでのお話を読みながら、すごいなぁ、と思わされました。
なんの無理もなく、すとん、と一つの三部作として、お話が繋がっていることに、そしてそこに違和感なく自分の作品が組み込まれていることに、感動を覚えましたv

順序が違っていた時に生まれたであろう世界もまた、魅力的なものであったのだろうと思いますが、この遊園地を舞台にした作品たちに出会えて、私は自分の順序に拍手をしたいくらいです(いえ、正しくはjunsoraさんのリクエスト順ですが)

有難うございましたv

あーるぐれいさん、ありがとうございます。

無理がありすぎて怒られたら大変だと思っていたので、
無理もなくと言っていただけ、安心しました(笑)
お話は、詩の言葉やイメージを多く拾って膨らんでいくもので、
順番も含めて、半分以上はあーるぐれいさんのものでした。
哀しげなジンタが響いてくる始まりのところ……、
いちにのさんと飛ぶところなど、とても好きです♪

順序が違っていたら……
さて、どうだったでしょう?
少なくとも、木馬が飛ぶようなことはなかったでしょうね(^_^;)
でも僕も、この順がよかったように思います。
また機会があれば、こうしたお話を作らせてください。

ひさしぶりに来させていただきました。
あら……いつのまにか素敵なコラボ3部作が……。
詩と文の雰囲気がぴったりで 絶妙ですね!
読んだだけで不思議な遊園地で遊んだ気分に浸れました。

あおはさん、お久しぶりです!

一万ヒット記念に、便乗してリクエストさせてもらったんです♪
そればかりか、更にコラボ的な試みまでも(^_^;)
いいんでしょうか、いいんですよね。
僕としてはリクエスト以上の、プレゼントをもらっている感じです。
でも、とてもいい経験?になっております。
(と言うよりは、思い出?)
ぴったりと言われると、安心します。
ありがとうございますv
やっぱり不慣れなことをすると、緊張してしまって(笑)
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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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