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幻の遊園地

怪しさが、6月の空に下り始めていた。
人々の笑顔や笑い声の中にも少しだけ、雲が掛かり始めている。
猫とお婆さんは、少し寂びれかけた遊園地の中を二人して歩いていた。
次は、どこで遊ぼうかな……。
突然、ポロポロ涙を零しながらピエロがやって来ると、
お婆さんに赤い風船を手渡し通り過ぎた。

「もう、終わっているんです」

何のことだろうと思って振り返ると、もうピエロはいなかった。
その代わりに、ついに雨が降り出した。
周りを見渡すと、もう誰もいなかった。
けれども、何かが聴こえてくる……。



誰もいない広場に

哀しげなジンタが響く

濡れた観覧車に

遠い街が映る

カルーセルは廻る

幻の少女を乗せて

セピアの写真を抜け出

雨粒をすりぬける

ペンキの剥げた木馬

魔法の解けた馬車

くるりくるりと廻る

時を超えて廻る

笑顔の少年が駆ける

涙目のピエロが踊る

雨煙の中の

誰も知らぬ広場




とっくの昔に引退した木馬の前に、お婆さんは立った。
よっこらしょっ、と言ってまたがる。
まるでそれが魔女のかけた号令であるかのように、馬たちは動き始めた。

「ずるいぞ! お婆さん!」

猫は後を追いかけて、一緒に廻り始めた。
くるりくるりと……。
猫とお婆さんは、雨を避けるようにして回転を続けた。
けれども、猫は少しずつ遅れをとっている。
馬って速いな……。
猫は、お婆さんの方を羨ましげに見上げた。
けれども、振り返ったのは少女だった。
猫に向かって、楽しげに手を振っている。

その横顔は、雨に浮かんだ幻のように笑っていた。

そしていつの間にか、少女の前には少年の姿があった。
やはり、笑っている。
猫は、もう目が廻ってきた。





                文…junsora
                詩…あーるぐれい

『どこにもかえらない』 
一万ヒット記念、リクエスト「雨のメリーゴーラウンド」 。
あーるぐれいさんより、頂きました。
ありがとうございました。
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テーマ : 詩・唄・詞
ジャンル : 小説・文学

Comment

うれしいですv

わあ、ステキなお話にvv
不思議で物悲しげで、でもどこか楽しげな、とても好みな世界が♪

差し上げたのに、なんだかこっちがたくさんいただいてしまったようなお得感(笑)
ありがとうございますv

ありがとうございますv

気に入ってもらえて、よかったです!
勝手にコラボ構成になってて、ちょい不安も(^_^;)
ひとの詩から猫を引っ張るのは、初めてですが、
あーるぐれいさんの詩は、ずっと読んでいたので、
それほど違和感がなかったです。
やはり回転木馬に、ピエロが出てくると、
もうドキドキしてしまいますね♪
書いていて、とても楽しかったです(笑)

僕も詩と同時に(勝手に)お題ももらったようで、
自分で、なんか妙な感じです。
楽しんでもらえたら、幸いです。
ということで、また頂戴に参上します!
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おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


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今日も散らばって行こう
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「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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