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お婆さんリサイタル『アンコール』

ステージの上に再びお婆さんは戻ってきた。
熱心にエールを送る観客に応えて……。
もう一度いまステージに立っている。
もう一度マイクに両手を乗せた。





もう一度
繰り返せ

好きなように

伝えたいことがあるなら
切々と

繰り返しの
唄のように
笑いのように
語り継がれる歴史のように

通じるまで

繰り返せ

良いことは

謝りたいことがあるなら
深々と

頭を下げるように
言葉は
更に下から

誠意が通るまで

繰り返せ

明るいことは

昨日の今日のように
日々の決まりごとのように
誕生とフィナーレのように
総当りの試合のように

繰り返せ
ゆるゆると

繰り返せ
もう一度

優しい言葉

繰り返せ

愛していると

毎日のように






お婆さんは優しく歌い上げると、ステージを見下ろした。
けれども、猫はもう眠っていた。
猫は飽きっぽく、それにも増してよく眠る猫だった。

その横顔は、繰り返される日々に疲れ果てた子供のようだった。

まだ少し、あどけなさのようなものが残っているが。
繰り返し、いびきをかいて。
まるで自分がリクエストしたことなど、すっかり忘れてしまったように……。



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テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

Comment

繰り返せ・・・そうですよねっ☆
それにしてもリクエストしておきながら眠っちゃう猫が可愛すぎです!

ありがとうございます

あおはさん、コメントありがとうございます。

繰り返すことで見えてくるものも、ありますね☆
そうしてお婆さんも皺の数を増やしていったのかもしれません。

猫は眠ってしまったけれど、今まで頑張りすぎたのでしょう^^;
そんな猫を大目に見てもらって、ありがとうございます♪

リクエストしておいて眠ってしまった
猫がとても可愛いです。
その気まぐれなところが人の心を鷲掴みに
するんです。
っておばあさんの詩にノータッチなコメントですみません。

ありがとうございます

イーゲルさん、コメントありがとうございます。

気まぐれというのは、ひとの心をくすぐりますね。
ロボットの実験で、100%反応を返すロボットよりも、
80%くらいで反応を示すロボットに対して、
人間は親近感を覚えやすい、というのをやってました!

いえいえ、ピンポイントのコメントも嬉しいですよ♪
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junsora(望光憂輔)

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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