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小さな贈り物

改札を抜けると、そこは改札の外だった。
多少様子が違うような気もするが、少し改装工事でもあったのか……
いつものように階段を上り、いつもの街を歩き出す。
けれども、そこは見知らぬ街だった。

見知らぬ道を歩くうちに日もすっかり暮れて、足も疲れ始めた頃……
見知らぬ街の見知らぬ街角で、おばあさんはつまずいた。
大きな箱の中には小さな猫がいた。
傷つき震えながら、じっとおばあさんの方を見つめていた。





全く何が幸いするでしょう
あなたの飲んだ苦味だけが
吐き出せる言葉があるでしょう

幸いしてほしいのです
幸いしてほしいよね

あなたの歩んだ道だけが
示せる方向があるでしょう

狭いから届いたり
弱いから解ったり
小さいからくぐれたり

幸いしてほしいのです
幸いしてほしいよね

間違うことで掴めたり
手放すことで手にしたり
落ちることで羽ばたけたり
遅れることでたどり着いたり

あなたを通り過ぎた
小さな物語だけが 
紡げる言葉があるでしょう

だから何が幸いするでしょう

せめて幸いしてほしいのです
幸いしてほしいよね

壊れることで直ったり
落とすことで拾われたり
迷うことで行き着いたり
疑うことで信じられたり

傷つくほど愛せたり
失うほど満たされたり
震えるほど温まったり

いつか何かがきっと
幸いするでしょう

幸いしてほしいよね





街に雪が降りてきた。
おばあさんは猫を抱きかかえると、元気に歩き出した。
猫のために、新しい元気を創り出したのかもしれない。
それから随分後になってから、おばあさんは気がついたものだ。
あの時、自分が降りる駅を間違えてしまったことに……
そして、それが本当に幸運だったということにも。
小さな猫は、おばあさんの胸の中で眠っていた。
その横顔は、小さな居場所を見つけた子供のように夢を見ていた。







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テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

Comment

この子猫ちゃんはあの猫ですか?だったら出会いの瞬間でしょうか。そう、すべて幸いへ通じるための道だったのだと思いたいです。
せめて幸いしてほしいのです
幸いしてほしいよね
と繰り返す二人が寄り添いながら 幸いを願ってくれるあたたかさにじ~んとしました。junsoraさんの優しいあたたかい声で言われているような気がしました。
私におきるいろいろも、幸いへの道なら もしそうならうれしいです。

あおはさん、コメントありがとうございます。

この猫は、きっとあの猫かもしれません。
けれども、このお婆さんはあのお婆さんでしょうか?
きっとあのお婆さんに違いありません!
すべてを知り得ることはできず、だからただ想像するだけなのですが……

なんだか詩の朗読でもしたい気分になってきますね、そう言われると(笑)

幸も不幸も、きっと猫の複雑な遺伝子のようにクルクルと絡まっているのだと思います。
何もかもが幸いするとは思わないけれど、何かは幸いすると思いたいです♪
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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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