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ホットミルク

ミルクを鍋に空けて、火にかけた。
ソファーに腰掛けて、携帯を開けた。
お気に入りサイトがズラリと開けた。
『そんな横顔フリーキック』を開くと、猫が近寄ってきた。
おばあさんの横から覗き込むように……
けれども、猫はお気に召さないのかベッドの方に帰っていった。





温めてるよ

乾いた土の上で
真っ白い冬の底で
合わせた手の中で

温めてるよ

小さなアイデア
小さな好き
小さな望み

大事に大事に
誰にも見えないように

ゆっくりと
陽だまりの
猫のように

温めてるよ

破れそうな胸の奥で
破れかけた鞄の底で
破れかぶれの街の地下で

温めてるよ

小さな常識
小さな絶望
小さな裏切

冷酷な掟たちから

必死に必死に
いつも守りながら


ゆっくりと
バス停の
おばあさんのように

僕はまだ
温めてるよ

ゆっくりゆっくり

温めてることも
忘れるくらい


大事に大事に

自分で
壊さないように


まだ僕は
温めてるよ


優しく優しく


いつかきみを
温めるために






おばあさんは温めている何かを思い出して、携帯を閉じた。
重たい腰を上げて、ミルクの鍋に近づいた。
鍋を下ろして、カップに注ぐと勇気のような湯気が昇った。
猫は誘われて、やってくるだろうか?

猫はいまは、ソファーの上にいた。
おばあさんの座っていた場所を、温かそうに占領している。
その横顔は、冬の夢を温めるミルクのように甘かった。







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テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

Comment

アイス の次は ホットなのですね(笑)
小さな手をぎゅっとして 大切なものを握りしめるようにあたためている図が浮かびます。その想いはホットミルクのように甘くて熱いのでしょうね。あばあさんの見たサイトがこことは!笑っちゃいました(ごめんなさいっ・・・)

あおはさん、コメントありがとうございます。

アイスの次はやはりホットです!
実は、ちょっと「温まる」という言葉にはまっています。
寒いからかもしれません……。
一つの言葉にはまってみるのも面白いもんですね。(いまさらなんですが…)
だけど、はまり方がまだまだ甘いようで^^;

お婆さんのお気に入りには入っているようですが、猫にはまだまだなようです。
我ながら、そこが悔しいとこなんですがね(笑)
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おかしな比喩を探し求める内に
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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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