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アイスミルク

息は雪のように白く、道の上にも12月の波が押し寄せていた。
おばあさんは家に戻ると、手袋をはずした。
ストーブをつけて、かじかんだ手を温めた。
落ち着いたところで冷蔵庫を開けると、冷たい冬があふれ出てきた。
それはベッドの上で寝ている猫にまで届いた。





きみの持っている時間を
知らないわけでは
なかったよ

きみを守りたくて
そこに入れておいたんだ

半分は
自分のためでも
あったけれど

寒かったね
ずっと閉じ込められて

真っ暗で
どこにも
逃げ場がなくて

きみの待っている時間を
知らないわけでは
なかったよ

一日でも長く
きみをこの世界に
留めておきたくて

みんなが
そうするように

安全な囲いに
入れておいたんだ

ずっとひとりで
冷たい暗闇の中
ずっと震えていたんだね

差し迫っているのに

きみはひとつの声も
上げられずに
寒かったね

寒かったね

もう大丈夫だよ






中からミルクを取り出した。
けれども、それはもう期限切れだった。

「温めれば、大丈夫だね……」

同意を求めた。
猫は、ベッドの上で少し震えながらあくびをした。
その横顔は、冬の搾り出したミルクのようだった。








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テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

Comment

何かとおもったら期限切れのミルク。。。確かに冷蔵庫は真っ暗ですよね。限りある命の物をこちらの都合で引き延ばしていることは結構あるのかもしれませんね。
温めれば大丈夫。。あるあるっ!私もよく言ってます(笑)

あおはさん、コメントありがとうございます。

熱を帯びたものにはいつも期限が付きまとっていて、その間を精一杯惜しんだり心行くまで楽しんだりしながら……。
不老不死に憧れながらも、不老不死でないものを私たちは最も愛することができるのかもしれません。

寒さに耐え続けてきたものは、いつか温められるべきだと思います!
お婆さんの言うように……
それで大丈夫なら、もっといいと思います♪
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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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