スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夕暮れの風

風が何か言いたげに吹きつけた。
まだ5時だというのに、夕焼けはすっかり薄れてしまっていた。
家路を急ぐ人々に混じって、猫も歩いていた。
いたる所で、別れの挨拶を交わす声がする。

「さよなら。また明日」

今日のすべてが、空へ吸い込まれていくようだった。





夕暮れ時に吹く風は
いつもちょっと冷たくて

それはなぜと
不思議がるうちに
すぐに夜が押し寄せて
想いを塗り潰してしまう

去りゆくきみを見送る道は
いつも決まって同じように
冷たい風が吹き抜ける

夕暮れ時に見る空は
いつも少し消えそうで

それがなぜか
問いかけるうちに
すぐに時が押し寄せて
想いを連れ去ってしまう

消えゆくきみを見送る空は
いつも決まって同じように
赤い温もりを奪っていく

繰り返される冷たさは
白い風を運ぶ
未知なる誕生のために

赤から黒へと
時を急がせる

止められない夕暮れは
いつも冷たく赤く
奪っていく

ひとつの終わりに

とどまれない想いを






さよならと夕焼けと猫の唄を吸い込んで、空は白くなった。
白さの中に最初に描かれた丸い形を、猫は見た。
それは月だった。
もうすぐ夜の青さの中で輝きを増すだろう。

風が昼間の方向から猫を追いかけるように吹きつけると、猫はもう一度オレンジの光を思い出した。
その横顔は、月の見つめる風の中で薄っすらと白く見えた。







スポンサーサイト

テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

Comment

こんばんは!

夕暮れの情景が
丁寧に描かれていて
とても素敵な文章だと思います。
空の色と共に心の色も
塗り替えられていくんですね。

育美さん、こんばんは!
コメントありがとうございます。

素敵と言ってもらえ、うれしいです。
朝日と一緒に昇れるようです。

夕暮れはとても好きで、少し嫌いです。
でも好きです。
…、…複雑な感じの好きです(笑)

その色は、何かを思わせずにおかない不思議な魅力がありますね。
晴れの日でも、曇りの一日でも、やはり同じ色の夜の方へ。
それは、人の向かう方向を示しているようであったりして……

何度繰り返されても、心の色を塗り止ますことがありませんね♪
非公開コメント

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
リンク(相互、片道、色々…)
最近の作品
最近のコメント
プロフィール

junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

最近のTB / 返詩
そんなカテゴリー
折り返し地点

『折句ストレート』

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリー素材のある場所

・天の欠片
・e-素材web
・素材屋さんromance.com
・アイコンワールド




RSSフィード
月別アーカイブ
フリースペース

フリー百科事典
『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























ブログ内検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。