スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

静寂を増す箱の中で

後悔が猫の背中を突き刺していた。
けれども、それより遥かに速いスピードで化け物の影が猫を追っていた。
魔物のテリトリーを侵してしまったのは、自分だった。
必死の形相で、電話ボックスをよじ登った。
ここまでは登れる奴はいない…

けれども、化け猫はその巨体からは想像できない身軽さで透明な塔を制覇してしまう。
小さな猫は、飛び下りると今度は下のわずかな隙間に身を縮めると箱の中に逃げ込んだ。
化け猫は隙間から手を入れるのが精一杯だ。
やがて、あきらめて闇の中に帰っていった。

猫はその透明な箱の中で安堵のため息をついていた。
道行く人が不思議そうに、電話ボックスの中に取り残された猫を眺めていた。
それは、ショーウィンドウに飾られた猫のようだった。

「どなたか、猫はいりませんか…… おとなしい猫はいりませんか……」
風が唄っていた。
透明な箱の中で猫の目が輝く。
その横顔は、時に取り残された透明な旅人のようだった。




今日は誰も入ってこない
箱の中で話し手を待ってる

みんながみんな手の中に持っているから
みんなみんな去っていった

今日は誰も訪れない
一人分の透明な箱をつくって
たったひとりを待ってる

みんな小さな自由を手にして
歩みを速く世界を狭く変えていった
箱の前に並ぶ人たちは
もうみんな遠くに行ってしまった

昨日は誰もこなかった
箱の中で話し声を待ってる

みんながみんな自分を持っているから
みんなみんなみえなくなった

透明な箱は
一人分の澄んだ居場所をつくって
たったひとりで立っている

みんながみんな歩きながら話せるから
みんなみんな離れていった

今日は誰も入ってこない
足を止める人は誰もいない

手の中の声だけが通り過ぎていくだけ
箱の中では待ちすぎた静寂がざわめく

人の歩みは止まらない
明日もきっと箱の中で
ただ時だけが過ぎていく


スポンサーサイト

テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

Comment

透明の箱

ステキな表現ですね。。(´ー`)
赤が黄緑になって、透明の箱ができ、今では薄い黒になってしまいましたが
それすらあまり見かけません。
小さな真四角の箱の中だけ、かつてのように時間がゆっくり流れているような・・
junsoraさんの詩を読んで、そんなことを思いました。

ありがとうございます

レニさん、コメントありがとうございます。

だんだんと数は減ってきているようですね。
必要とする人も、必要になる場面もあるとは思うのですが…

透明な箱は、今や人の目にはどう映っているのでしょうか?
透明であるという理由で、もうみえていないのかもしれませんね^^;
それが少し心配ですvv
非公開コメント

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
リンク(相互、片道、色々…)
最近の作品
最近のコメント
プロフィール

junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

最近のTB / 返詩
そんなカテゴリー
折り返し地点

『折句ストレート』

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリー素材のある場所

・天の欠片
・e-素材web
・素材屋さんromance.com
・アイコンワールド




RSSフィード
月別アーカイブ
フリースペース

フリー百科事典
『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























ブログ内検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。