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夜を越えて届くまで

長い夜だった。
旅はまだ始まったばかりなのに、もうおばあさんの匂いは消えていた。
 
婆ひとり
猫の足音
耳澄ます
届いてくるは
遠くの花火

おばあさんの詠う易しい歌が遠くから聞こえてきて、猫は振り返りそうになった。
けれども、そうする代わりに猫は猫の歌を夜に向けて歌い出した。
猫の吐き出した音符が、花火の作り出した輪と共に広がり、落ちた。
すると猫は、次の歌を歌い出した。
その横顔は、花で作られたマイクのように夜の中に光っていた。
月が少し耳を傾けた。



塗り尽くされた夜を越えて
いつか誰かに届くといいな

風が打ち消してしまうから
小さな歌はすぐに消えていくよ

塗りつぶされた夜を越えて
いつかあなたに届くといいな

壁がせき止めてしまうから
すぐに消えてしまうんだ

言い尽くされた言葉を越えて
いつかどこかに届けばいいな

風が打ち消してしまうけど
また別の歌を歌い出すよ

私の歌は気まぐれだけど
それでもいつか届けばいいな

言い尽くせない想いを越えて
いつかはきっと届けばいいな

壁がせき止めてしまうけど
形を変えて歌い出すんだ

私の歌に意味はないけど
それでもどこかに届けばいいな

覆い尽くされた夜を越えて
いつかあなたに届くといいな


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テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

Comment

猫の行き先

ここのところの、猫の動向が気になって気になって、仕方ないです(笑)

ちょっと切ないけれど、それよりも、なんだか、わくわくしてしまいます。
これから、どこへたどり着いて、何が待ち受けているのか、楽しみですv

ありがとうございます

あーるぐれいさん、コメントありがとうございます。

猫の動向を気にかけてもらってうれしいですvv

少しソロで歌ってみたいと、猫が飛び出して行ってしまったので、少し寂しいながらも何か新鮮な感じも湧いてきました。
気まぐれな奴なのですぐに戻ってきてしまうかもしれませんが(笑…)
それでも旅や、旅の始まりの雰囲気は何か不思議な期待感を抱いてしまいます。
未知への憧れでしょうか…
できるだけ長くその雰囲気の中に漂っていたいような、気がしますv

いい唄ですね。
僕が好きな唄です。。
僕好みです[笑]

リクエストの「壊れたパソコン」書きました。
是非読んでください。
そしてこのページ、リンクさせてほしいです。。

冬桜さんへ

冬桜さん、コメントありがとうございます。

こういう唄、唄の唄。繰り返し唄はよく唄います。
気に入ってもらえてうれしいですvv

リクエストに応えてもらってありがとうございます。
言ってみるもんですね(笑…)
こんなに早く完成するとは流石ですv
早速読ませてもらいます。

リンクまでも♪ ぜひよろしくお願いしますvv
こちらからも貼らせてもらいますねvv
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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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