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駆け出した夜

月を横切る鳥を追うようにして猫は駆け出した。
猫という者は、時々は旅に出なければならないのだ。
すべての猫がそうというわけではない。
けれども、すべての夏休みの宿題がそうであるように、夏がどれほど挑戦的な夏であっても、
それは夏が終わる前に手をつけなければ満足のいく研究結果は得られないのだ。
そして猫は、少しのことで満足する猫でもなかった。
ようやく訪れた本当の夏に浮かび上がった月の下を、猫は一週間のような速さで駆け抜けた。
その横顔は、土曜よりの使者のように破滅的終末に向かっていた。
雲が突如として月を覆い始めた。



千切れる想いを抱いて
夜に裸足で駆け出した

持ち寄られる好意から
顔を背けて遠ざかる
泣きつけるものもない世界へ

靴も履かずに駆け出した

たったひとつの想いを置いて
私はひとり抜け出した

恵まれた温室の壁を
自分の手で切り裂いて
ひとかけらも巡ってこない世界へ

私はひとり逃げ出した

後から風が追ってきた

進んで自分を傷つけるために
黙ってあの場所を捨ててきた

前触れもなく雨が降り出した

そばで触れる手もなく逃げ出した

後から闇がつけてきた

ミニチュアの幸福を置き去りにして
汚れた空気に満たされるために

ミニマムの自分を取り出して
不確かな夜の中に逃げ出した

夜の中にいまはひとりで

進んでかなしみを近づけるために
ありあまる日々から離れてきた

いまはひとりで追いかける

夜はどこまで続いているのか

この足で確かめずにはいられない




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テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

Comment

待つ者と駆け出す者

どちらの気持ちも、わかる気がしますね。。。
ちょっと寂しいけど(苦笑
でも、リズムが違うだけで、どちらも前を向いてることに変わりないから
立ち止まらなければ、またどこかで交差するのかな・・なんて思ったりします。

「夜がどこまで続いているのか この足で確かめずにはいられない」
すごく心に響きました。

ありがとうございます

レニさん、コメントありがとうございます。

旅に出た者は、たとえひとりになったとしても、遭遇する景色の中で常に新しい出会いに恵まれています。
けれども、ひとり待つ者は、今までと同じ景色を、二人で過ごした景色を今度はひとりで見なければなりません。
それは同じようで全く違うことに気づかされたりします。
だから、やはり待つ側の人間の方が寂しいでしょうね(笑…)
世界が狭いという理由から、きっとどこかで交差することもあるでしょう。

夜や風というものは、いつまで経っても人を神秘的な気分にさせてくれますね。
実際、神秘だらけですけれど…vv
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junsora(望光憂輔)

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おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
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今日も散らばって行こう
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「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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