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溶けない砂糖

「またおやすみかね…」
おばあさんの微笑みが猫を横切った。
猫が深い眠りに落ちた頃、カップに落ちた砂糖はおばあさんの魔法のスプーンの力でようやく頑なな自我を開放し、オレンジ色の中にその身を溶かし始めた。
忘れかけていた太陽は、もう本当に忘れるほど遠くに行ってしまい、その代わりオレンジを照らしているのは今は月だった。
叶わぬ願いほどに頼りなく薄くなった月は、それでもおばあさんの家の開かれた窓からささやかに入ってくる風と共に優しく光を投げていた。
そしてようやく、本当にようやく砂糖は溶け込んだ…
おばあさんはそろそろ電気をつけようか考えながら、ソファーに眠る猫を見た。
「たくさんいい夢をみれますように…」
猫はまだ夢の中で息をしていた。
その横顔は、月に溶け込む砂糖のように甘く輝いていた。


氷砂糖は氷ではないけれど
口に含めば少しひんやりして
南極ペンギンの遊戯のように
少しずつ不安を溶かしていく

あなたは氷砂糖
光のキャンディー
私の中にとろけて溶けた

角砂糖は四角く尖っていたけど
カップの中で静かに融和しながら
ソファーの片隅で眠る猫みたいに
もうすっかり角が取れてしまった

あなたは角砂糖
振れないサイコロ
不思議なルールに転げて溶けた

黒砂糖は自分の色を語り
強い風味をばらまきながら
夜が星を明かすかのように
鮮明に記憶を溶かしていく

あなたは黒砂糖
ふにゃけた太陽
軒端の月に揺らいで溶けた

渦巻いたままの願いを置いて
時間は砂のように流れていったけど
一粒だけを逃さないほど甘くはなかった

ただ甘いだけではいられなかった

それでもあなたは砂糖

うつむいたままの夜の上を
あなたは砂のように流れていったけど
どこにでも溶け込めるわけではなかった

それでもあなたは砂糖

やっぱりあなたは砂糖
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テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

Comment

砂糖

うんうん、ホント…と、それぞれの砂糖を思い浮かべてしまいました。
イメージがとても素敵です!
砂糖に例えられるモノも、あれこれ想像しています。。。

実に

そんな砂糖がそばにいてくれたらいいですねぇ!

レニさんへ

レニさん、コメントありがとうございます。

砂糖にも色々あるものですねv
イメージを素敵に働かせてもらってうれしいです。
私は直喩好き、たとえ好きなもので(笑…)
イメージ比喩で空想するのは大好きですvv

この砂糖の中では、やはり氷砂糖が素敵ですね。
氷のようなって感じが素敵です!

yosukeさんへ

yosukeさん、コメントありがとうございます。

私の近くには、残念ながらそのような砂糖はいません^^;
氷のように冷たく、豆腐のように角ばって、夜のように黒く時を刻む砂時計がいるだけです。
それは砂のように流れるけれど、砂糖ではなく砂なのです。

でも本当は、自分で気がつかないだけで砂糖は案外近くにいるのかも!
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junsora(望光憂輔)

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おかしな比喩を探し求める内に
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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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