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シングル

電子紙幣に書かれた数字とアルファベットの入り混じった文字は、おばあさんの目にはまるで暗号のように映ったものだ。
不器用な手つきで16桁のプリペイド番号を打ち込むと、PCからダウンロードが始まり、それは1分と経たぬ内に完了した。
「聴いてみるかね?」
猫の小さな頭に優しくヘッドホンをかけてあげると、猫はいてもたってもいられなくなった踊り子のように、陽気に踊り始めた。
おばあさんの前で踊ってみせる猫は、華麗なダンシングキャットだった。
その横顔は、表紙を飾った猫のように輝いて見えた。


ヒットチャートが
雨の速さで駆け抜ける
天井から屋上まで
甘いメロディーで
星座を満たす
私はそれに見向きもせずに
アルバムを広げて
いつもの一曲を
ゆっくり振り返る

デッドヒートが
夜の儚さで突き抜ける
街角から街角まで
強いエナジーで
バトンを渡す
私はそれに見向きもせずに
アルバムを広げて
あの日の一曲を
いつもよりも
しっとりと振り返る

チャートを連ねた宝箱が
道々を巡って
隣の家まで転がってきても
私はそれに見向きもせずに
ひとりここに残って
古いアルバムを広げよう

もっと遠い空から
雲に針を落としながら
もっと深い海から
謎の鍵を開きながら
あなたを見つけ出す

シングルチャートが
虫の速さで駆け抜ける
私はそれに見向きもせずに
私はそれに気づきもせずに
ひとり視線は雲の向こう
今日も私の一番は
古いアルバムの中にある
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テーマ : 詩・唄・詞
ジャンル : 小説・文学

Comment

前書きのおばあさんがダウンロードしてね こが聴く辺りから、なんとも面白いです。なんかもうおばあさんと猫は私の中で立派な顔をもったキャラとして確立しています(笑) このおばあさんの 心が広くてなんでも受け入れるけど、自分がきちんとあるところが好きです。猫のなんだか愛嬌のある性格も好きです。

ヒット曲のことを記述して、次にアルバムの話・・・を繰り返えされて、自分にとっての使い捨てでない、消耗品でない大事な曲の特別さが、こちらにもどんどん降り積もってきます。
雲に針を落として・・・レトロな感じがおしゃれです。
もっと深い海から
謎の鍵を開きながら
あなたを見つけ出す ・・・そのアルバムに詰まった思い出とは?と妄想じゃなかったぁ空想がフル回転しちゃいます(笑)
というわけで(?)この詩はとても好きだなって思いました。

ありがとうございます

あおはさん、コメントありがとうございます。

音楽の聴き方も色々変化していきますが、このおばあさんはなかなか器用なところもあるようです。
ここの猫も猫なりに生きているし、何か憎めないですv
おばあさんも、猫もいつの間にかこの場所に住み着いてしまいました(笑)
おばあさんの家は猫にとっては、安心で、悠然としている感じです。
猫を育ててきたのは、どんな比喩でもクールに受け入れてしまうような猫の額の広さと、あおはさんのかけてくれる言葉のおかげだったかもしれません。

これは同じ本を何度も繰り返して読んだり、同じ曲ばかり飽きもせずに聴いてしまう自分についての詩でもあります。
音楽的な比喩を探していると、針が出てきました。レトロですね^^;
気に入ってもらえてうれしいですvv

実は、私も猫やおばあさんが時々リアルに感じられます。
やはり、長く接していると情が移ってしまうのでしょうか…(謎)…

詩よりも

前文のお話に気がいってしまいますね(笑)

心のどこかに音と一緒に止まったままの時間。
誰にもあるものでしょうね。

あまのじゃくさんへ

コメントありがとうございます。

それは珍しいケースですが、あり得るケースです。
勿論私は、どちらがメイン・ステージであっても良いと思っています。
ここの構成の中では、必ずしも前後が一つの世界観でまとまっているわけでもありません^^;
猫の性格上、私も手に負えないことも多いのです。

音楽というのは、とても不思議なものですねv
気持を色んな場所に導いてくれます。
時には時間さえも遡っていくような…

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おかしな比喩を探し求める内に
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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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