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第九ボタン

魔術師はどこからともなく、陽気な森の中から天使と待ち合わせしたり、悪魔と鉢合わせしたりしながらやってきた。
そんな魔術師が、古い鞄を開いて新しい魔法を取り出すと、
天使の第二ボタンが悪魔の第三倉庫に変わった。
「簡単どころか最悪のことだ」
気がつくと、魔術師はすっかり悪魔の倉庫の中に閉じ込められていた。
悪魔の倉庫らしく、窓も笑顔もなかった。
「せめて第四だったら良かったのに・・・」
魔術師は、弱音をはきながら絶望にくれていた。
倉庫のまばゆい暗闇が、弱気を盛り立てているようだった。
・・・

魔術師は悪魔の第三倉庫の中で、悪い夢を見たり見なかったりしながら、一晩を眠りに費やした。
そして目覚めた時、魔術師の中で、頑ななドアを開く魔法の鍵も目を覚ました。
針の穴に魔法を通すように、魔術師は鍵穴の中に魔法を送り込んだ。
静寂と闇が悪魔の倉庫から逃げ出していくのが感じられる。
頑丈な門は消え去り、どこからともなく幻獣の獏がやってきた。
「どうも。こんばんわと言っておこう」
魔術師は悪い夢のかけらを獏に投げつけながら、暗い倉庫を後にした。
獏も食べない夢の残骸が、一時の間地面に落ちて残っていた。

口もあけずに食べつくす
言葉の嘘と むなしさを
何も告げずに飲みつくす
言葉のとげと 真実を
扉も開けずに入り込む
心の秘密の中にさえ
真っ赤なうそを 真っ青の赤で
包み込んで
ゆっくり 自分になりすます

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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

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「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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