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さよならから始まるゲーム4

「プレイボール」黒の審判が叫んだ。
左チームは左バッターをズラリと並べた打線を組み、
右チームは右バッターをぼんやりと並べてみた打線を組んだ。
そんな伝統の一戦が一回の表を迎えていた。
けれども、このゲームがこれから縮小戦に向かうのか、前を向いて進むのか、それは右チームのエースの肩にかかっているように思われた。
紙くずの勇者は、黒の審判の制止を振り切ってマウンドに駆け上がった。
「あなたは投げない方がいい。
 3回で火だるまになってるよ」
「僕は右チームのエースなんだ」
エースは紙くずの勇者を追い払った。
キャッチャーのサインに小さくうなずいた。
けれども、エースは投げ出さなかった。
「プレイボール!! 」
黒ヘルメットはもう一度試合開始を宣告した。
それでも、エースは投げ出さなかった。
今や彼は、真のエースに、決して投げ出さないピッチャーに成長を遂げたのだった。
右の監督は、そっと紙くずの勇者の背中を押した。
ロボモフが、黒の審判の方を力強く指さした。
「ムラリュージョンを起こしているのはあいつです」

さよならから始まったゲームは、ようやく本当の始まりへとたどり着いた。
右のエースを押しのけて、紙くずの勇者がマウンドに立っていた。
大きく振りかぶると、キャッチャーの構えには目もくれず、黒の狐に向けて渾身のストレートを投げ込んだ。
生まれて始めて投げたストレートは、ヘルメットを吹き飛ばすと、仮面がはがされる。
黒の狐が半笑いで正体を現した。
「退場!! 」
自分自身に退場を告げると、猛スピードで右チームのベンチに走り出す。
紙くずの勇者がすぐに後を追った。
「止めるんだ」
けれども、右の監督は腕組みをしたまま仁王立ちをしていた。
そして、ロボモフは絵本を読んでいた。
黒の狐は、ダグアウトを突き抜けて、狐的ルートを開拓してスタジアムを後にした。
紙くずの勇者が外に出た時、黒の狐の姿はもうなかった。
その代わり、ロボモフが後を追って駆けてきた。
「もうここに姿はないんだし、一度はその姿を見たんだし」
「きっと見つけられる」
黒の狐が通った後のよどんだ空気が、辺り一体を支配していた。
渡り鳥がまやかしの橋を渡った後のようだった。
機械仕掛けのロボットが空の向こうを見ながら言った。
「心からそう願います。私に心があったらだけど」

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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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