猫と婆とそんな占い
2007-12-25 Tue 23:28
「一度みてもらいなさい」
友達もそう言うのだけれど……。

私には踏み出せない一歩がある。
最悪の結果から考えれば、陽気にスキップを踏むように前に進むわけにはいかない。
明るい方向を見つめ、まるで何も考えていないように進める人たちを、私は一生理解することができないし、また、だからこそ彼らを羨ましく見つめることもあった。
色鮮やかな冬の衣装を身に纏った人々が歩く公園通りを、12月の風が吹きぬける。
一匹の蝶が、ひらひらと青く輝きながら風に乗り遅れないように
私を追い越していった。
どこへ行くのだろう?
あるいは、誰のところへ……



大丈夫だよ
と言ってほしい

心配ないよ
と言ってほしい

でももしも……

その時
絶望に暮れる自分を
見たくはない

私は二の足
無限の踏切

まだ
大丈夫だよ
と言ってほしい

何も
心配ないよ
と言ってほしい

でももしも……

もしももしも……

その時
絶望に暮れるキミを
見たくはない

私は二の足
無限の踏切

この形は一瞬で

きっと終わりがある以上

この形は一瞬で

どんなに長くても

もっと遠いものからみれば

この形は一瞬で

蝶よ

その羽ばたきも 起承転結さえも




蝶は、お婆さんの帽子の上にピタリと止まって依然として輝いていた。
古ぼけたテーブルの上に、小さな猫がちょこんと座っている。

吸い寄せられるように、私は占い婆の前に立っていた。
言われるままに、猫の手を握った。
お婆さんがもう一方の猫の手を握り、猫の顔を覗き込んだ。
猫の瞳が青く光る。
その中から、占い婆は答えを読み取っているようだった。

   近い将来、あんたは好きな四字熟語を選ばねばならない
   そこで難攻不落、四面楚歌などと決して言わないこと
   相思相愛、縦横無尽……もNGワード
   日替定食などは論外じゃ
   運命は些細なことで決まる!
   些細に過ぎて留めてもおけぬ
   顔だけに騙されたなら逃げていってしまう
   甘すぎたハバネロの誤解のように
   気がつくのは決まって失った後で
   新年はいつまでも新しくないから
   あんたは嫌でも急がないとならないし
   四字熟語を決めなければならない
   ああ七の月に 星が落ちてくるのが見える
   メリークリスマス!

お婆さんの話が終わると、猫は力を使い果たしたようにテーブルに身を伏せた。

その横顔は、金八先生の授業が終わりを迎えた時の黄昏に染まっていた。

「ありがとう……」

猫に礼を言った。
眠り込んでいた蝶は、お婆さんの帽子を離れて夜の方向へ飛び始めた。
急ぐことなく、私もその後を追いかける。
少しだけ、軽い足取りで。





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