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2007-12-20 Thu 20:40
人は迷う生き物だ。
小さな白い粒を前にして、お婆さんは迷っていた。 こんなもので眠れるだろうか? もしも、飲んで効かなかったとしたら……。 絶望が深まるだけではなかろうか? そう考えると、安易に口にすることはできないのだ。 ソファーの上で眠る猫を、羨ましそうに見た。 猫は夢見る生き物だ。 眠れない夜 目を閉じて 遠い風景を描く いつもなら すぐに消えてしまう景色も ありありと見える 眠れない夜は どこまでも遠く 私を運んでくれる 何百キロも離れた 行ったことのない町 てくてくと散歩する ずっと昔に 住んでいたところ 幼い頃に別れた ケイちゃんに 今日は会えた 眠れない夜が あの日の忘れ物を 届けてくれる 一緒に歌をつくろう また一緒に 世界で一番 長生きな夜に 世界で一番 短い歌を 眠れない夜 また こんにちわ 薬を飲んで、目を閉じた。 しばらくして何の変化もなかった。 余計に目が冴えた気もする。 ついにお婆さんは、歌を作り始めた。 眠れない 小猫の横を 寂しさが かすめていった 長い夜に 眠りたい 小猫のように 幸深く カチカチ針は 何周目かな 眠れたら 小猫見ながら 叫びます 叶わぬ夢の 7オクターブ とうとう、猫が目を覚ましてしまった。 お婆さんと一緒に、歌い始めた。 その横顔は、夢を奪われた小猫のように切なさが滲んでいた。 薬は一向に効かなかった。 こんな小さな粒が、私に効くものか……。 お婆さんは、自信を深めていた。 そして、安心して眠りに落ちていった。 しばらくの間、猫の歌声だけが、 取り残されたように響いていた。 |
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| 猫と婆とそんな横顔 |
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