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2007-09-21 Fri 20:36
会場には、100人を超える人が集まっていた。
熱心に講師の話に耳を傾けている。 「2010年火星移住計画」についてだ。 「もはや一刻の猶予も許されません! 地球を抜け出す準備をするのです」 火星の砂を掃いたように、会場がざわざわとした。 どうやらこのまま行くと、海という海が沸騰し始めて海水浴に行けなくなってしまうらしいのだ。 それは夏という言葉の意味が、なくなるのと同じことかもしれない……。 確かに今年の暑さときたら、お婆さんの確かな記憶の中にあっても今までにない類のものではあった。 けれども、今はこの場所が暑くてもう耐えられそうもない。 人々の熱気のせいもあるだろう。 いや、きっとエアコンが全く入っていないのだ。 まだ話の途中ではあったけれど、猫とお婆さんは会場を抜け出すことを決めた。 ここは生き物の住める場所ではない。 二人は立ち上がった。 ここでしか聴けない 音色がある ここでしか描けない 景色がある ここでしか味わえない 味覚がある ここにしかない優しさがある ここにしかない空気がある ここでしかとけない 謎々がある ここでしか作れない メニューがある ここでしか描けない 物語がある ここにしかない季節がある ここにしかない自由がある ここでしか生きれない 私がいる ここで生まれ ここで生きて ここで生み出してきた すべてのものが 私の中の宝物 世界が滅んでも ここでしか生きれない 私はそんな 生き物でしかない エレベーターが開き、地上に降り立つとまた雨が落ち始めていた。 そうして一雨毎に秋に近づいていくのかもしれない。 猫とお婆さんの歩みと共に、見慣れた街並みが流れていく。 所々、畳む店、開かれる店があること等を除いては、 特に大きな変化はないように思えた。 今この地球上に起きている大きな問題を考えながらも、お腹がグーッと鳴る。 猫の目が、一つの看板に釘付けになった。 その横顔は、今ここにある正解を見つけ出した六年生のように光っていた。 二人は馴染みの店のドアを開けた。 お婆さんはバリバリ熟カレー、猫はマグロカツカレーを注文した。 ここは落ち着ける場所だ……。 やっぱり、カレーはココイチだね。 |
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| 猫と婆とそんな横顔 |
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