万能キャット
2007-07-28 Sat 20:57
ひとつひとつ、女の説明は整っていた。
その完全な口調で物を売っているのだ。
今度のロボ・キャットは、家事もできるという。
洗濯から掃除から、お留守番までも……。
女は、その優秀さに対して熱弁を振るい、
お婆さんは少し疲れてきたけれど、
猫は相変わらず眠っていた。



生まれたての春のように
いつまでも瑞々しい
永遠を
あなたにひとつプレゼント

痛みは溶けて
傷は消えて
ひとつひとつ
根が生えて

あなたは
不満を遠ざけるでしょう

もぎ立ての果実のような
いまにも輝ける
美を
あなたにひとつプレゼント

見た目はすべて
思いの通り
ひとつひとつ
皺は消えて

あなたは
望みを手に入れるでしょう

毎日が
穏やかに晴れて

泣きたい時に 泣くでしょう

やがて
そんなきかいが 来るでしょう




「怠けることを知らない、パーフェクトぶり。
 あなたのパートナーに、ぜひお買い求めください!」

風の逃げ場もないほど完璧な説明を終えて、
女は言葉を締め括った。
その表情は、ロボットにも負けないほどクールに映る。

「そんなものの、どこが面白いのかね?」

キョトンとした顔で、お婆さんが聞いた。
あるいは、答えたのかもしれない。
ベッドの上で、猫の頬が少し反応したように見えた。

その横顔は、気まぐれに膨らんだ風船のようだった。

一定のようなリズムで寝息が聞こえてくるが、
それはやはり、ゆらいでいるのだ。
お婆さんは、わかっていた。





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