廻る廻るオルゴール
2007-06-24 Sun 08:04
息一つ切らさず、馬はゴールに流れ込んだ。
お婆さんの見込んだ馬だけはある。
雨のバレリーナのように、お婆さんはくるくると廻る。
夜のような店の中で、お婆さんは両手いっぱいのメダルを掴んだ。
きらきらとして、まるで若さのようだった。
忘れてしまった猫のことなど、
もう、すっかり忘れてしまっていた。



廻れ

廻れ

くるくると


舞われ

舞われ

するすると


硝子のオルゴール

鳴らす舞曲

水晶の馬車が

翡翠の馬が


廻る

廻る

くるくると


涙の雨粒に

濡れる舞曲

薔薇石の花散らし

雲母の窓伝う


舞って

舞って

するすると




するすると音を立てて、猫は改札を通り抜けた。
雨音が牛耳る見慣れぬ街の中を、彷徨い始める。
水溜りを覗き込むと、人の手が浮いている。
けれども、よく見るとそれは小さな馬だった。
くるくると輪になって、十頭ばかりの馬たちが廻っている。
雨の中で微かにいななく声、あるいは唄を、猫の耳は聴いた。
そして、輪の中に加わろうと身を低くした。

その横顔は、水のルーレットに魅入られた人魚のようだった。

けれども、猫は大きすぎる。
馬たちと比べて、どうしようもなく巨大だったのだ。
猫は輪に入れない代わりに、せめていななこうとしたけれど、
猫はただ鳴くことしかできなかった。
お婆さんは、どこに行ったのだろう……。
仕方なく、猫は廻る馬の上を跳び越えた。





                文…junsora
                詩…あーるぐれい



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