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2007-06-13 Wed 20:14
怪しさが、6月の空に下り始めていた。
人々の笑顔や笑い声の中にも少しだけ、雲が掛かり始めている。 猫とお婆さんは、少し寂びれかけた遊園地の中を二人して歩いていた。 次は、どこで遊ぼうかな……。 突然、ポロポロ涙を零しながらピエロがやって来ると、 お婆さんに赤い風船を手渡し通り過ぎた。 「もう、終わっているんです」 何のことだろうと思って振り返ると、もうピエロはいなかった。 その代わりに、ついに雨が降り出した。 周りを見渡すと、もう誰もいなかった。 けれども、何かが聴こえてくる……。 誰もいない広場に 哀しげなジンタが響く 濡れた観覧車に 遠い街が映る カルーセルは廻る 幻の少女を乗せて セピアの写真を抜け出 雨粒をすりぬける ペンキの剥げた木馬 魔法の解けた馬車 くるりくるりと廻る 時を超えて廻る 笑顔の少年が駆ける 涙目のピエロが踊る 雨煙の中の 誰も知らぬ広場 とっくの昔に引退した木馬の前に、お婆さんは立った。 よっこらしょっ、と言ってまたがる。 まるでそれが魔女のかけた号令であるかのように、馬たちは動き始めた。 「ずるいぞ! お婆さん!」 猫は後を追いかけて、一緒に廻り始めた。 くるりくるりと……。 猫とお婆さんは、雨を避けるようにして回転を続けた。 けれども、猫は少しずつ遅れをとっている。 馬って速いな……。 猫は、お婆さんの方を羨ましげに見上げた。 けれども、振り返ったのは少女だった。 猫に向かって、楽しげに手を振っている。 その横顔は、雨に浮かんだ幻のように笑っていた。 そしていつの間にか、少女の前には少年の姿があった。 やはり、笑っている。 猫は、もう目が廻ってきた。 文…junsora 詩…あーるぐれい |
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| 猫と婆とそんな横顔 |
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