猫の背伸び
2007-06-04 Mon 17:52
さるも木から落ちるとお婆さんが言っていた。
猫は、自分がそんな立場になるとは思わなかったのに。
あの日から、まだ木に登ることができない。
今、魚の生る木を目の前にして思い悩みながら、
そして少しだけ楽しんでいる。

「なんで魚なんだろう……」



私は稀にみる猫
誰かの夢に出る
おかしな猫

私は稀にみる猫
どこかの絵本に
浮き上がる猫

私は翼のない猫
尾びれだってない
みんなと似たように

私は木に登れない猫
いつからか
人が言うように

魚のなる木に
精一杯手を伸ばす

いくら背伸びしてみても
私は猫

けれど気持だけは
象であったり
竜であったり

人の気持は
まだ わからない




猫は、うさぎのようにピョンピョン跳ねて、魚に食いつこうとした。
けれども、猫は自分が猫だと思い出した。
見かねたお婆さんが、木を元気付けるように揺さぶる。
猫は額に落ちてきた魚の冷たさに驚いた。

その横顔は、魚降る夜の中の釣り人のようだった。




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