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2007-05-04 Fri 21:22
スタートラインの上で猫は孤独だった。
犬、犬、犬…… どこを見たって犬しかいない……。 なのに自分はなぜに猫だろう。 人間たちが熱心に犬を応援する。 後ろを振り返ると、お婆さんが椅子に座っていた。 けれども、とても怖い顔をしている。 開始の笛が鳴ると、仕方なく猫も走り出した。 誰よりも先に きみの影に追いつこうと 闇夜の中を駆け抜けた 誰よりも早く きみの隣に並びたいと 疾風のように過ぎるきみを 遥か遥か後方から 誰にも負けずに追いつこうと 闇夜の孤独を駆け抜けた 誰よりも先に 誰よりも抜きんでたきみに 一番に追いつこうと 我を忘れて駆け抜けた 闇夜の中で 伸びすぎた影は 見失った分身のように あり得ないくらいの長身は 大地に張り付いたままで おぼろげな先端から 呻くように 諭すように 囁いてる 声がきこえる もういいよ 「やっぱり、もういいや!」 猫は途中で走るのを止めた。 自ら力を抜いていく方を選んだ。 誰よりも先に、人間の元に戻ってきたのは猫だった。 駆け寄るとお婆さんが、笑顔で迎えてくれた。 けれども、後を吠え立てながら犬たちが追ってきた。 まるで裏切り者を責めるように……。 猫は、逃げ込むようにお婆さんの胸の中に飛び込んだ。 その横顔は、あたかも敗北を知らない犬がリタイヤしたみたいだった。 お婆さんは、猫を守るように抱えながら駆けた。 出口はない。 どこにもない。 あるのはフェンスだけ……。 |
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| 猫と婆とそんな横顔 |
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