雪女
2007-04-17 Tue 23:00
お婆さんはお婆さんとにらめっこする。
どちらも譲らない勝負の行方は、猫にもわからない。
やがて、お婆さんは顔に張り手を浴びせる。
布団を叩くような音がする。
だから、猫は少し雨の心配を始めた。




私はいま若返る
輝く夏のように
訪れる春のように

誰よりも若返る
夜明けの海のように
海辺の足跡のように

心地良い無知の中で
唄っていたあの頃のように

私はいま若返る
はしゃぐ金魚のように
瞬く息吹のように

誰より若返る
真っ白な雪のように
まっさらな空のように

私は若返る
母なる大地を踏みつけて
美しく生まれ変わる

空から 黒い雨が降ってくる





にらめっこは冷たい顔をしたまま終わった。
振り返ると、お婆さんは別人のように若返った。

その横顔は、千年前の雪女のように憂いを散らしていた。

猫の方を向いて少し微笑む。
猫は、驚き震えながら窓の外を見た。
心配していたとおり、雨が降り始めている。
そういえば、今年も雪を見なかったな……。
いつからだろうか。









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