春の小旅『はじかれて』
2007-03-21 Wed 00:19
猫は歩いていた。
夜が包み込んだ見知らぬ街には、
季節外れのジェネラルが舞い降りて、
白い風を容赦なく送りつける。
今にも猫は、その冷たさにはじかれそうだった。




真冬のおはじきのように
冷酷に
適当な方向へ
飛ばされる

不条理な計算が導くままに
はじき出される数字のままに

僕らは
いつしか
つまはじき

真冬のおはじきのように
冷徹に
単調な決定で
飛ばされる

思い上がりの計算力のままに
はじき出される数字のように

僕らは
気づけば
つまはじき

キラキラ光る
封じ込められた命
月に優しく乱反射して

はじかれても
はじかれても

負けずに逃げて行く

自由になった星のように

割り切れぬ春だけを
半透明に秘めながら





ふらつきながらも、猫は歩いた。
その歩みには、どんな想いが秘められているというのだろう……
猫は風の支配する夜の中を、果てしなく歩いた。

その横顔は、夜露で出来たおはじきのように光って見えた。

夜の向こうに何かが見え始めた。
それは、春ではなく朝だった。





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