新しい旅『永遠の唄』
2007-01-29 Mon 02:41
猫とお婆さんは歩いた。
新しく塗り替えられていく物語の中で、一筋だけ取り残された道の上を。
時々、理由もなく立ち止まったり、振り返ったりしながら。
そして、懐かしい唄に微笑みながら……





何度でも何度でも
おばあさんの
口癖のように

何度でも何度でも
きみの唄をうたってよ

繰り返し繰り返し
おはようとさよならの間で
きみの唄を聴かせてよ

何度でも何度でも
恋のかたちを
唄ってよ

何度でも何度でも
僕は同じ
唄を聴くから


繰り返される争いと
塗り替えられる暮しに

明日の道が歪んだら
深く沈んだ足下で

繰り返し繰り返し
愛のかたちを
唄ってよ

繰り返し繰り返し
繰り返しきみの
唄を聴くから


さよならとさよならの間を
何度も何度も
つないでよ

永遠の愛のように

変わらないものに
支えられながら

世界は少しずつ
変わり続けていくのだから

少しだけ愛ある方へ
再びきみの声を貸して


何度でも何度でも
また唄ってよ

あの優しい

おばあさんの口癖のように






幻の本通商店街を通り抜けた。
猫もお婆さんも、もう後ろを振り返らなかった。
もしも、そうしてしまったら……
すべてが幻だったと気づいてしまうかもしれないから。

懐かしい唄も、もう聞こえなくなっていた。
その代わり懐かしい街並が見えてきた。
バスで出発した旅を、二人は歩いて戻ってきたのだ。

いま、二人で踊ったバス停の前にいた。
落葉は、もうそこになかったけれど……
夕日が、優しい色使いで旅人を出迎えていた。

今度はどこに行こうかな……
猫は期待を込めてお婆さんを見つめた。
その横顔は、新しい旅を待ち焦がれる猫のようだった。







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