新しい旅『幻の本通商店街』
2007-01-23 Tue 01:29
駅はおろかバス停さえも見当たらない。
地図に沿って進んでいくと、道は徐々に寂しさを増していった。
先ほどまでの馬鹿騒ぎが、まるで夢の出来事のように思える。

あるいは、これも夢の一部か……
猫は不安そうにお婆さんを見上げた。
お婆さんは、突然進路を変更した。
地図の上の矢印をなぜか無視して……





懐かしい色に
誘われるように

進路をはずれ
足を踏み入れた

瞬間始まる時間旅行

細い道

誰もいない

大売出しの旗が
うそぶきながら揺れている

だけど
定休日

だけど
臨時休業

静かな本通り

誰もいない

すべて閉ざされた
あるいは半分閉じたままの
シャッターが並ぶ

ラーメン屋は
4時まで閉じている

ただ床屋の主人だけが
店の椅子で
新聞を開いている


懐かしい曲が
空の上から
時の向こうから
流れてくる

足を止めて
振り返れば

誰もいない

誰もいない

ここは幻の本通商店街


冬の向こうから
風が吹けば
空が少し近くに見える

澄んだ空の下
旅人の歩みの上を
万国旗が輝きながら
宙に連なって


ふと忘れた頃に

人が歩いているのが
視界に入ってくる時

それはやはり
エキストラなのだから

ここは幻の本通商店街


遥か空の向こうから

懐かしい曲が聞こえてくる






不思議な懐かしさに、猫はポカポカした気分になった。
相変わらず、冷たい風が吹いていたというのに……
お婆さんは、遠い子供の頃のことを思い出しているようだ。
空から流れてくる懐かしい唄に、猫も耳を澄ませた。
その横顔は、失ったメインストリートを振り返るようだった。

失われた方向から流れてくる……
それは、次のような唄だった。





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