新しい旅『訪れたバス』
2007-01-01 Mon 16:37
踊り疲れるまで踊り続けた後で、瞬時に夜が訪れた。
落葉の中に固まっていた時間が、一気に溶けたようだった。
ようやく原点を探し当てたように滑り込んだバスは、猫たちの前に、
停止した瞬間ドアを開くと、深いため息を吐いた。

「待たせてわるかったなー … …」

おばあさんの耳に、その音は好意的に響いた。
猫はステップを乗り越え、おばあさんが後に続いた。





ただ訪れたバスに
僕らは乗り込んだ

行く先は知らず
ただ新しい場所に

駆り立てられるままに
僕らは手を取って

揺れる想いを
そのまま乗せて

行く宛ては持たず
ただ新しい旅を


古びた時を置いていく

曇った硝子の向こうに
新しい道が見えている


夜を引き離しながら
時の静寂を揺らしながら
訪れたものたちを運ぶ


昨日の喜劇は
ここに

この空白のバスに
置いていく

ここに僕を
置いていく


新しい夢をみるために


僕らは乗り込んだ

ただ訪れたバスに






猫とおばあさんだけを乗せてバスは進む。
眩しく輝く硝子のビルを過ぎた。
寂しく静まり返った湖を過ぎた。
どこにも止まらず、誰も拾わずに……
猫はお婆さんの膝の上で、眠っていた。
その横顔は、永遠に訪れない終点のように揺れていた。

「次は、終点、人形の町……」










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