心 の 隙 間 か ら 出 て お い で
アイスミルク
2006-12-17 Sun 22:46
息は雪のように白く、道の上にも12月の波が押し寄せていた。
おばあさんは家に戻ると、手袋をはずした。
ストーブをつけて、かじかんだ手を温めた。
落ち着いたところで冷蔵庫を開けると、冷たい冬があふれ出てきた。
それはベッドの上で寝ている猫にまで届いた。





きみの持っている時間を
知らないわけでは
なかったよ

きみを守りたくて
そこに入れておいたんだ

半分は
自分のためでも
あったけれど

寒かったね
ずっと閉じ込められて

真っ暗で
どこにも
逃げ場がなくて

きみの待っている時間を
知らないわけでは
なかったよ

一日でも長く
きみをこの世界に
留めておきたくて

みんなが
そうするように

安全な囲いに
入れておいたんだ

ずっとひとりで
冷たい暗闇の中
ずっと震えていたんだね

差し迫っているのに

きみはひとつの声も
上げられずに
寒かったね

寒かったね

もう大丈夫だよ






中からミルクを取り出した。
けれども、それはもう期限切れだった。

「温めれば、大丈夫だね……」

同意を求めた。
猫は、ベッドの上で少し震えながらあくびをした。
その横顔は、冬の搾り出したミルクのようだった。









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