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2006-12-10 Sun 21:59
会計が終わると、店員は店員のように微笑んだ。
「2.231円になります!」 おばあさんは、巾着袋の中から財布を取り出した。 けれども、出てきたのは猫ビスケットだった。 シルバーカーの中から、猫がひょっこり顔を出す。 もう何も渡さない わずらわしいやりとりも 危なっかしい手渡しも もう何も必要ない もうきみに渡さない 一枚一枚数えたり 一枚足りぬと嘆いたり もう何も間違わない 落とすこともなく 崩すこともなく ただ人が 流れていく もう きみの前には 止まらない とりとめもない掛け合いも 気のおけないやりとりも もう何も 触れ合わない きみの目にも留まらない 手垢まみれになって 渡り続けた紙切れは いまはもう 歩行者ランプの点滅のように 紙くずにする形さえ 不確かになって お金なんて幻なんだよ そうだ おばあさんの言ってた通り 幻は幻らしく浮かべばいい メキシコの空を出入りする UFOみたいに 「ごめんなさい。財布を忘れてしまって……」 あたふたするおばあさんを尻目に、猫はカウンターに飛び乗った。 キャット・ハンド・プレートの上に、ちょこんと手を乗せる。 「キャット・マネーですね。ありがとうございます!」 店員が微笑むと、猫はシルバーカーに飛び下りた。 その横顔は、電気仕掛けの猫のように誇らしげに輝いてみえた。 |
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| 猫と婆とそんな横顔 |
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