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2006-11-22 Wed 20:14
みかんはおばあさんの爪先によって正体を現した。
それはみかんのみだ。 口に放り込むとおばあさんは顔をしかめた。 「うひゃー、すっぱい!」 おばあさんは、二つ目のみかんに期待を込めて爪を立てた。 けれども、おばあさんが手を滑らせると、みかんはコロコロと転がった。 辺り一帯に運動会の匂いが充満していたけれど、猫はまだベッドの上で寝転がったままだった。 逃げるように転がった 少しでも遠くに行こうと コロコロ コロコロ 転がっていく間に 余計なものは 削ぎ落とされて だんだん小さくなっていく 想いのかけ方で 方向は変わる いつ頃からかは忘れてしまった いつも誰かとぶつかりながら 落ち着く場所はないけれど どこまでも転げ落ちるだけ 駆けるように転がった 誰よりも先に行こうと コロコロ コロコロ 転がっていく間に 余分なものが 付着して だんだん重くなっていく 言葉のかけ方で 方向は変わる いつ頃からだろうか 鈍感な人の隙間を縫って 共感だけを探し始めたのは コロコロ こころ こころ コロコロ いつも口をあけたまま いつも誰かとぶつかりながら 落ち着く先は見当たらない だけど時々 競うことに疲れた時は 一人離れて転がっていこう オレンジに染まる坂の上を ゆっくりと昔のように コロコロ転げ落ちて逃亡した果実を捕まえた。 拾い上げたみかんからも、納得のいく甘さは得られなかった。 そして、おばあさんは缶詰を開けたのだ。 音がはじけると、すぐさま猫が転がり込んでいた。 その横顔は、躍動するどんぐりのように親しげだった。 |
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| 猫と婆とそんな横顔 |
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