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2006-11-16 Thu 20:01
獣道が猫の脚力を奪っていた。
幻の村を抜けると、月が湖を照らし出した。 猫は吸い寄せられるように近づいていく。 けれども、月から飛び出してきた黒い鳥の群れが猫を阻んだ。 猫は駆け出した。 鳥は黒く、月を完全に覆っていた。 この道の先に 待ち受ける場所は 蜃気楼の村 どこまで続くのだ どこまで進むのだ 勘だけを頼りに この道を下り切った先に 待ち受ける場所は 水辺の楽園 どこまで下りるのだ 底まで沈むのか 覚悟も決めずに この道を上り切った先に 待ち受ける場所は 綿菓子で出来た天国 どこまで上るのだ どこで休めるのだ 傷ついた足を この道に迷い込んで 遥か先で訪れる 風景は 地図に漏れた街 話に聞いたユートピア 長針の止まった世界 照らし出される 忘れ去られた現実 誰が道をつけたのだろう 誰が道に続いたのだろう どれほどの人が 歩き過ぎたのだろう 誰かと同じ希望を持ち 誰かと同じ不安を持ち 私と同じような想いで 足跡を振り返りながら 進んで行ったのだろう この道を突き詰めた 遥か先で待っているのは 現実とかけ離れた 心地良い場所だろうか 現実の中で 心落ち着ける場所だろうか 心の照らす細い道 見えているのは 僅か先の明かり 見慣れたウサギの森が猫を囲っていた。 月も戻ってきた。 森を抜けて猫は戻ってきた。 明かりが見えてきた。お婆さんの家だった。 昨日と同じように猫は家にたどり着くとドアを叩いた。 その横顔は、枕を探す睡蓮のように眠そうだった。 |
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| 猫と婆とそんな横顔 |
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