心 の 隙 間 か ら 出 て お い で
砂の夢
2006-10-11 Wed 19:22
架空の城、架空の舟、架空の家庭……
誰が作ったかもわからない砂場の芸術品たち。
そのすべてを猫は大はしゃぎで踏みつけてまわった。

「幻 幻 幻 ……」

立派な城も、小さな舟も、温かい家も…
猫の豊富な運動量で、すべては砂のように崩れ落ちた。
けれども、突然忍者刀を振り回しながら少年が追いかけてきた。
猫は砂を蹴って、一目散に駆け出した。




何もない砂地の上に
泥だらけの手の中で
一つずつ成長していく

想いの数だけ
夢の城は大きくなって
日暮れに歴史が流れ込む

砂場のガラス細工が
白く輝きを放つ頃

もう僕はうれしさを抱えきれなくなって

不安に怯えて逃げ出したくなった

泥だらけの手の中で
作られた作り物が
いまはこんなに白くみえる

儚い形を抱えたいのに

もう僕は触れるのも怖くなって

泥だらけの手を
透明に洗い流した時

主のいなくなった砂地の上
ガラスの城は黒く
夜の足に崩壊していく

想いの数と
手間隙をかけて
積み上げた泥まみれの夢は

闇色の爪の下で粒子にかえる

大いなる徒労
壮大な無駄のように

一瞬で

儚く
 
儚く

儚く

愛しい

夢の形





追っ手をまいておばあさんの家の前まで帰ると一息ついた。
今日の仕事は終わりだ。
昼の幻を壊すことも、猫の仕事なのだろうか……
猫は再び後ろをかえりみた。
その横顔は、古びた家の前で、壊れたドアノブのように垂れ下がっていた。







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