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2006-09-11 Mon 23:52
「じゃあね…」
おばあさんが出て行った家の中に、猫はポツンと座っていた。 さっきまでそこにいたはずのおばあさんは、いまはもういない。 さっきまでおばあさんが座っていた椅子には、いまは誰もいない。 さっきまで聞こえていたおばあさんの歌声も、いまはきこえない。 それはみんなおばあさんのせいだ。 おばあさんは、猫と空白だけを残して行ってしまった。 猫は、おばあさんがおやつを抱えて買い物から戻ってくるのを待ちわびていた。 その横顔は、消えた夏空を想うひまわりのように萎れていた。 もうあなたは消えてしまったけど 時々あなたがそこにいるように見える 椅子の上に誰もいないけれど 時々あなたが座っているのが見える そこにないものが僕らには描ける ぼんやりした曇り空だけど そこに僕は雪を描いてみた 雪ははじまりのように白くて それは希望 それは期待 それは郷愁 どれも冷たく溶けていくものばかり そこにないものを僕らは想う 空っぽの水槽の中に 僕は金魚を想ってみた 尾びれは木の葉のように揺らめいて それは幻想 それは不安 それは愛情 どれもただ揺れているものばかり 空洞の中に忍び込んだ空想がいまだけを満たす もうあなたはいなくなってしまったけど 跡形もなく消え去ってしまったけれど なぜか時々形をつくらずあらわれて 密やかに僕を引きずり込もうとする 望もうと望むまいと そこにないものだけを 今また僕は想う |
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| 猫と婆とそんな横顔 |
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