ただいま
2006-09-02 Sat 21:16
ただいまの合図だった。
扉を4回叩くと、静まり返った夜の中でドアが開いた。
おばあさんが出迎えてくれた。

泥まみれ
汚れた顔を
手で拭う
いまは何にも
言わなくていい

おばあさんの詠う歌を、猫はだまって聴いていた。
けれども、優しい夜の中でおばあさんの手の中で、猫はゆっくりと笑顔を取り戻していった。
それからテーブルの上に飛び上がると、体を伸ばしたり、後ろ足で顔をかいたりした。
いつものように…
その横顔は、婆の動かない城に帰還した王様のようだった。



距離を置いてみた
少しの間
心を止めてみた

それではっきりとわかった
内なる気持ちが浮き出てきた

時間を置いてみた
束の間
心を離してみた

思ってもみなかった
これほどまでに好きだったと

近くにいて知らなかった
好きの度合いがこれほどと

少しくらいは平気だと
何も変わらないものだと
わかっていた

距離を置いてみた
一度は消えようとした
自分の居場所が
わからなかった

思い込みだった
消せない想いが残っていた
自分の居場所は
やっぱりそこだった

思っても言えなかった
どんなにあなたを好きだったか

近すぎて気がつかなかった
これほどの愛が宿っていたと

少しの間離れてみたら
たくさんの愛が輝き始めた

混沌の時の向こうに
本当の自分がみえてきた

私の居場所は

やっぱりここだった




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