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月追い

月があまりに近くに下りてきた。
猫は光のような速さで追いかけた。
もうすぐ追いつけるだろう。
そして飛び乗ることができるだろう。
月はあまりに明るく輝いていた。
だから猫は照らされるように、引きつけられるように走った。

「もうすぐそこだ…」

けれども、月はあまりに突然にあまりに速く流れ始めた。
猫は走るのを止め、路上駐車の車に飛び乗った。
車の上から眺める月はもう遠かった。
手を伸ばしてももうそれは遠かった。
池に逃がした金魚を見送るように猫は月を見ていた。
その横顔は、遠ざかる月明かりの中で幻のように消え入りそうだった。



太陽を向こうにまわして
逃げ落ちてきた

9月になれば
月も向いてくるだろう

この月の下に
生れ落ちてきたのだから

夜をつきとばして
小さな手をかざしてみる

美しすぎる光も
ただ見上げているだけでは
何も変わっていかない

この街では月を探すにも
かけ回って見つけなければ

一瞬の微笑みならば
満たされた瞬間に
振り出しに戻ってしまうから

太陽を向こうにまわせば
月はこちらにみえてくる

この月の下に
ねがいかけてきた

夜につきそって
小さな手を合わせてみる

儚くすぎる光を
ただ想っているだけでは
何も伝わっていかない

この街では月を見つけるのにも
かけた心を合わせ集めなければ

ひと時の幸福ならば
満ち足りた瞬間に
欠け始めているものだから

9月が過ぎれば
月は逃げていくのだろう

一粒の光を残して
逃げていくのだろう
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テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

特異なる星

「一番星みーつけた~☆」
おばあさんは得意げに指を伸ばした。
その声は、夕暮れのかくれんぼの中でてるちゃんを見つけた時のようだった。
風にそよぐブロッコリーの木の下で、猫とおばあさんは寝そべったまま夜の訪れを見つめていた。
猫の小さな瞳の中でそれよりも小さな星が揺らめいた。
おばあさんもいつかは、あの星のように遠くに行ってしまう……
けれどもいまは、おばあさんが猫にとっての一番星だった。
おばあさんは次の星を探し始めたけれど、もう猫は目を閉じていた。
その横顔は、特別な星の下で空想する猫のように愛に包まれていた。



これだけ多くの星があるのに
触れ合うものはないというのか

この感情は
この境遇は特別だろうか

自分と似たものが
いないはずがない

特別であり続けたいけれど
かなしいことに僕はひとりではない

信じることはできるけれど
未だ知ることはない

確かめることができなくて
孤独がいっぱい溢れてる

これほど多くの星があるのに
瞬くものはないというのか

この気持は
この大地は特別だろうか

似通った条件が
揃わないはずがない

特別ではあり得ないならば
うれしいことに僕はひとりではない

想像することはできるけれど
未だ出会うことはない

理屈よりも不安は強がって
孤独がいっぱい溢れてる

だから無数の星たちは
青白い光を放ちながら

きょうも無数の星たちは
溢れる孤独に揺れている

これだけ多くの星があるのに
微笑むものはないというのか

これほど多くの星があるのに
許せるものはないというのか

特別に招かれるべき輝きは
無数の星たちの夢想に消え

無限に広がる冷たい闇が
壮大な静寂を包み始める

だから無数の星たちは
同じ疑問を抱きながら

きょうも無数の星たちは
溢れる孤独を抱え込んでいる

テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

一本木への手紙

「ちょっとここで一休みしようかね…」
新種の植物を収めたカメラを鞄の中にしまい込むと、おばあさんは大木の下に腰を下ろした。
こんな陽射の強い日は、やっぱり木陰で休むのが一番だ。
木の匂いが猫の鼻先をくすぐって、思わずあくびをついた。
この木は何の気だったかな…?
猫が見上げるはるか上に、生い茂った野菜がそよいでいるのが見える。
猫とおばあさんにはまことに喜ばしい風が吹いていた。
「きっとこれはブロッコリーの木だな…」
猫は納得しながら、おばあさんの入れてくれた水をおいしそうになめた。
その横顔は、年輪を重ねた木そのもののように落ち着いて見えた。



いつも私は風の中で恐れ笑う
いつも凛としているあなたをみて
私はいいなと思うのです

あなたはいつも一本木で
あなたはいつも悠然と構え
何事にも動じないのですね

私はあなたの足下で
雨のように照りつける陽射から
身を潜めて夕暮れを待ちます

いつも浮いて沈んで戸惑って
いつも凛としているあなたをみて
私はいいなと思うのです

あなたはいつも一本気で
あなたはいつも真っ直ぐで
何事からも逃げないのですね

私はあなたに身を寄せて
太陽のように降り注ぐ雨粒から
逃れながら希望を想います

空は色を変え雲は形を変えて
私の前を過ぎ去るものばかり

けれどあなたは変わらない
たったひとりで向合っている


いつも私は想うのです


ただあなたを見上げながら

テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

のんびりの日

猫はそそくさと家の中に駆け込んだ。
高いところが少し嫌いになりそうだった。
動物レスキュー隊の大掛かりな救助活動の甲斐あって、猫は無事おばあさんの元へ帰ってくることができた。
「どうもお世話になりました」
おぱあさんは礼を言ってレスキューの白い車を見送った。
家に戻ると、猫はベッドの上に伸びていた。
その横顔は、チョモランマから下山したばかりの猫のように疲れていた。
それからしばらくの間、食事の時間がきても猫はそこを動かなかった。



僕はもう動けない

あんなに高いところから
ようやく下りてきたんだ

僕はもう寝そべってる

こんな時くらいは
平気なふりせず一休み

ほんのり希望が湧いてくるまで
足を止めて意志を止めて

僕はもう動けない

あんなに高いところにいたんだ
だからいまは落ち込んでる

今日は本気で無理をせず
のんびりしていよう

一日分の升目に
空白の僕を埋めよう

僕はもう動けない

あんなに高いところにいたから
ずいぶん落ちた気がするよ

急いで歩き始めても
歩幅はいつも変わらないから

今日はもうやめておこう
描くことももがくことも

今日という日に知らん振り
また明日から目をあけよう

僕はもう眠ってる

みんなに助けられて
お婆の大地に下りてきたんだ

今日一日分の升目に
折りたたんだ自分を休めよう

止まってしまった時間の中
いま生きていることを想おう

こんな時はそんな気分でいてもいいかな
のんびりゆっくりと深呼吸してもいいかな

過ぎていく今日に自分を置いて
ゆっくりゆっくり明日を迎えよう

いまはまだ動けないから

テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

謎の金字塔

玄関を出て、一歩踏み出すと頭をぶつけてひっくり返った。
「誰だ? こんなところに金字塔を立てたのは!」
おばあさんは悪態をつきながら起き上がった。
けれども、猫はするすると出てきて金字塔をよじ登った。
天辺まで登った猫は、豆粒ほどに小さく見える。
「そんなとこまで登ったら下りれないでしょ!」
おばあさんは、動物救急隊に救助連絡を入れた。
救助を待つ猫の横顔は、おばあさんからは見えなかった。
やたら高いところから、呼び声だけが落ちてきた。



広大な台地を駆けて
金字塔を打ち立てよう
自分だけの金字塔を
声高らかに打ちたてよう

壮大な野望を抱いて
隣の家の庭先に
番犬の目を盗んで
金字塔を打ち立てよう

個人的な判断で
各々の考えで
一軒一軒挨拶して
打ち立てて回ろう

繰り返される歌の中に
揺り動かされる魂の向こうに
誰にも負けない意志の強さで
金字塔を打ち立てよう

あなたも一緒に手をかして

街灯をもみ消して
禁止区域を打ち破って
輝ける金字塔を
力を合わせて打ち立てよう

胸を張って
才能を振り絞り
自分だけのオリジナル
想いを全部打ち立てよう

誰にも文句を言わせない

退屈な夜の中に
気だるい闇の真ん中に
さあ今から
金字塔を打ち立てよう

テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

人の数だけ

「人がひとり…」
猫はおばあさんのベッドの真中で人を数えながら、夢の入り口を彷徨っていた。
人がもうひとり…
人がまたひとり…
人の顔をした人がひとり…
たんさんの人がひとり…
ひとりひとり過ぎっては消え過ぎっては消える。
けれども、その横顔は猫にとっては皆同じように人だった。



子供は無邪気
大人はずるい

やっぱりそうか
この人もそうか

女はしゃべる
男は組立てる

やっぱりそうだ
あの人もそうだ

パターン通りで安心だ
人を通して人をみていた

A型だから
山羊座だから

若いから
酔っているから

ことによっては言の葉のままに
あなたを見ずにあなたを見ていた

だけど美しい空も
きょうは恐ろしくみえるみたい

自然のつくりだすものは難解だから
それは日によっても変わるのにね

地球は丸い
火星は遠い

知識人は無知
地底人は掘り起こす

やっぱりそうか
今度もそうか

イメージを当てはめれば単純だ
だから人を通して人を見ていた

金持ちだから
左利きだから

先生だから
野良猫だから

よりによっては寄りかかるように
誰かを通してあなたをみていた

だけど楽しい曲も
彼女にはかなしく聴こえるみたい

背景を描き出すものは複雑だから
それは人によっても変わるのにね

ひとりひとり
人はひとり

やっぱりそうか
わたしもそうか


テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

ないもの想い

「じゃあね…」
おばあさんが出て行った家の中に、猫はポツンと座っていた。
さっきまでそこにいたはずのおばあさんは、いまはもういない。
さっきまでおばあさんが座っていた椅子には、いまは誰もいない。
さっきまで聞こえていたおばあさんの歌声も、いまはきこえない。
それはみんなおばあさんのせいだ。
おばあさんは、猫と空白だけを残して行ってしまった。
猫は、おばあさんがおやつを抱えて買い物から戻ってくるのを待ちわびていた。
その横顔は、消えた夏空を想うひまわりのように萎れていた。



そこにないものが僕らには見える

もうあなたは消えてしまったけど
時々あなたがそこにいるように見える

椅子の上に誰もいないけれど
時々あなたが座っているのが見える

そこにないものが僕らには描ける

ぼんやりした曇り空だけど
そこに僕は雪を描いてみた

雪ははじまりのように白くて

それは希望

それは期待

それは郷愁

どれも冷たく溶けていくものばかり

そこにないものを僕らは想う

空っぽの水槽の中に
僕は金魚を想ってみた

尾びれは木の葉のように揺らめいて

それは幻想

それは不安

それは愛情

どれもただ揺れているものばかり

空洞の中に忍び込んだ空想がいまだけを満たす

もうあなたはいなくなってしまったけど
跡形もなく消え去ってしまったけれど

なぜか時々形をつくらずあらわれて
密やかに僕を引きずり込もうとする

望もうと望むまいと

そこにないものだけを

今また僕は想う


テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

おかしな帽子

「おばあさん、今日はあのおかしな帽子被ってないの?」
黄金のランドセルを背負った少年は不思議そうな顔で訊いた。
ランドセルの隙間から銀色の忍者刀がはみ出している。
「風が最初に……」
シルバーカーから猫が顔を出した。
けれども、おばあさんが猫の口をふさいで説明を止めさせた。
皆まで言うでない…
顔に形作られたしわがそう言っていた。
少年はくすりと笑うと背中まで伸びた赤毛を揺らしながら駆け去った。
猫は何か言い足りなそうな顔で、その後姿を見送った。
その横顔は、真実を封じ込められた黄金の小箱のようにちっぽけにみえた。



おかしな髪型も
おかしな格好も
慣れてしまえば大丈夫

おかしな帽子も
おかしな口癖も
なくしてみれば寂しいね

なんだかおかしくなりそうだ

おかしな生活も
おかしな考えも
慣れてしまえば当たり前

おかしなやり方も
おかしなあり方も
慣れてしまえばおかしくない

なんだかおかしな話だね

おかしな宣伝も
おかしな天候も
続いてみれば平気だね

もう最初の頃には戻れない

ありきたりの形はあり得ないように

もう初心の自分には戻れない

今まで通りでは飽き足りないなら

おかしいくらいがちょうどいい

おかしな言い方も
おかしな生き方も
否定されればくやしいね

おかしな帽子も
おかしな仕草も
みえなくなったら寂しいね

もう不思議なほどおかしな気分

なんだかおかしな気持ちだね


テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

流される日々

さらっていったのは風。
さらわれたのはおばあさんの帽子。
川に浮かんだ奇妙な形の帽子は、ゆっくり流れていく。
おばあさんは口をあけて無言の悲鳴をあげている。
けれども、帽子は距離をあけておばあさんから離れていくようだった。
猫が駆け寄って、手を伸ばすと必死に帽子を威嚇してみせた。
「おい! おい! ちょっとおい!」
猫の不思議な動きにも帽子は動じる素振りもみせず、それはまるで小さな舟のように、不意に始まった旅ではあるけれどもう呼び止めても戻ることはないのだった。
追いかけながら、時に先回りしながら猫は対話を試みる。
その横顔は、流れることを知らない星のように直向だった。



風にさらわれて
流れていく帽子のように

流されるのは誰だろう

関心の度合と他人の反応に
賽銭の金額と抽選の結果に
最初の報道と最新のスペックに

振り回されるのは誰だろう

一人の愚か者と判決の行方に
一枚の紙切れと看板の見せ方に
一瞬のスピードと照明の当て方に

流されるのは僕だろう

身勝手なルールと作られた順位に
古びたマニュアルと与えられた制服に
気まぐれなタイミングと乗り合わせた隣人に

いつも振り回されるのはなぜだろう

意志を固めた自分を持っていても

川に浮かんで
逃げていく帽子のように

流されるのは誰だろう

逃げ込む占いとみせかけの笑顔に
染み渡る音楽と壊れかけた優しさに
過ぎていく夕暮れと離れていく友達に

自分で選んでいるはずなのに

いつも揺れているのはなぜだろう

最初の挨拶と降り始めの雨に
消えていく語尾と暮れていく空に
何気ない一言と何気ないそよ風に

みんな持ち運ばれて

いつかみえなくなる帽子のように

流れつくのはどこだろう

テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

ただいま

ただいまの合図だった。
扉を4回叩くと、静まり返った夜の中でドアが開いた。
おばあさんが出迎えてくれた。

泥まみれ
汚れた顔を
手で拭う
いまは何にも
言わなくていい

おばあさんの詠う歌を、猫はだまって聴いていた。
けれども、優しい夜の中でおばあさんの手の中で、猫はゆっくりと笑顔を取り戻していった。
それからテーブルの上に飛び上がると、体を伸ばしたり、後ろ足で顔をかいたりした。
いつものように…
その横顔は、婆の動かない城に帰還した王様のようだった。



距離を置いてみた
少しの間
心を止めてみた

それではっきりとわかった
内なる気持ちが浮き出てきた

時間を置いてみた
束の間
心を離してみた

思ってもみなかった
これほどまでに好きだったと

近くにいて知らなかった
好きの度合いがこれほどと

少しくらいは平気だと
何も変わらないものだと
わかっていた

距離を置いてみた
一度は消えようとした
自分の居場所が
わからなかった

思い込みだった
消せない想いが残っていた
自分の居場所は
やっぱりそこだった

思っても言えなかった
どんなにあなたを好きだったか

近すぎて気がつかなかった
これほどの愛が宿っていたと

少しの間離れてみたら
たくさんの愛が輝き始めた

混沌の時の向こうに
本当の自分がみえてきた

私の居場所は

やっぱりここだった



テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『折句ストレート』

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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