忘れないアドバイス
2006-08-24 Thu 17:56
危ないところだった。
猫の世界には越えてはならない線があるのだ。
本気で猫を追うものが現れたということは、猫がもうその線を越えてしまっている結果だった。
もしも、その線を越え危険な領域に足を踏み入れてしまった時、猫という者は引き返さなければならない。
もしも、賢い猫ならば…
猫はおばあさんの歌が、急に聴きたくなった。
けれども、今いる場所からは、もう微かにもそれは聞こえてこなかった。
猫はもう一度耳を澄ましてみる。
その横顔は、教会で賛美歌を聴く猫のように落ち着いていた。
声がきこえてきた。



そろそろ帰ろう

きみの声がきこえたよ

遅くなるから
もう帰ろう

たしかに
きみの声がきこえたよ

そろそろ帰ろう

きみの声がきこえてきたよ

雨が降るから
もう帰ろう

かすかに
きみの声がきこえたよ

いつも頼りにしてたんだ
正しいきみのアドバイス

きみの形は
もう消えてしまったけど

いまでも時々みみにするんだ

そろそろ帰ろう

冷めた声が

たしかにいま
きこえてきたよ




別窓 | 猫と婆とそんな横顔 | コメント:5 | トラックバック:0 |
| 猫と婆とそんな横顔 |