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街の灯り

「あれは何の楽器だろうか?」
昔、どこかで聴いたような音。
花火の終わった夏の夜を思い出させるような音色が、二階の窓から流れてきた。
見覚えのある道だ。あるいは匂いだ。
おばあさんの家が近づいてくる。
車が猫のそばを走り去った勢いで、水溜りが悲鳴をあげた。
そのせいで顔に泥水をかぶってしまった。
けれども、気にすることはない。
おばあさんの家が近づいているのだ。
猫は歩みを止めなかった。
その横顔は、泥で作られた猫のように黒く震えていた。



街を歩けば灯りがついている
ピアノの調べが風にのって
道行く人に贈り物を届ける

家が建っている

人が住んでいる

夕暮れを歩けば灯りがついてくる
ペットの鳴き声が夕日に紛れて
旅人の背中にはりついてくる

カレーの匂いが家々を越えて
旅人の鼻先をかすめていく

人が生きている

動物が動いている

旅人を貫く遠い記憶
重い記憶は限りなく遠い

人は近い 友は遠い

夜を歩けば灯りがついている
ペットの音色が窓を越えて
夜の下に降りてくる

華麗な響きは少しの間
異世界の物語を奏でながら
旅人の足を止めさせる

人が生まれている

楽器を楽しんでいる

背中に背負った荷物は
旅人よりも大きくて限りなく軽い

街を歩けば灯りがついている

旅人の背中を
優しく照らす
街の灯り


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テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

星の帰り道

近づいてきた。
見覚えのあるガソリンスタンドが、見覚えのあるホットステーションが見えていた。
猫は、月の明かりと星の位置を頼りにしながら確実に歩いてきた。
もうここまで来れば迷うこともない。
旅に出る時の期待感とはまた違った期待感に胸が膨らんだ。
そして、少し足早になっていくのが感じられる。
近づいてきた。
夏休みが終わりに近づくように、おばあさんの家が近づいてきた。
少し笑みがこぼれた。
その横顔は、夜に近づきすぎたカブトムシのように光っていた。
 


妖しい影を伸ばしながら
追いすがるように
夜が近づいた

夏の波を羨みながら
誰にも悟られないように
微かに秋が近づいた

だけど
星は近づかない

みえているだけで
きっとそれは遠い

遠すぎるから
願いをかけても届かない

雨音を噛み砕きながら
打ちひしがれるように
雨が近づいた

指折り数えた海を越えて
追憶の空に泡を浮かべながら
イルカに乗った誕生日が近づいた

すべては自然な形で
時には不自然な形で
近づいてきた

だけど
星は近づかない

みえてはいるけれど
きっとそれはもっと遠い

あったというだけで
変えられない過去のように

遠すぎるから
願いをかけるにはちょうどいい

物珍しそうに瞳を輝かせて
物怖じしない勇敢さにあふれながら
鹿の群れが近づいた

みな
近づいては離れ
離れては近づいた

だけど
私の星は一歩も近づかない

みえているだけで

瞬く赤い光は
一度限りの若い誤りのように

ずっとみえていたけれど

きっと遠すぎるから
想いを馳せるのがやっと


いまそれは瞬いたようにみえた


向こうからもみえているというように


テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

忘れないアドバイス

危ないところだった。
猫の世界には越えてはならない線があるのだ。
本気で猫を追うものが現れたということは、猫がもうその線を越えてしまっている結果だった。
もしも、その線を越え危険な領域に足を踏み入れてしまった時、猫という者は引き返さなければならない。
もしも、賢い猫ならば…
猫はおばあさんの歌が、急に聴きたくなった。
けれども、今いる場所からは、もう微かにもそれは聞こえてこなかった。
猫はもう一度耳を澄ましてみる。
その横顔は、教会で賛美歌を聴く猫のように落ち着いていた。
声がきこえてきた。



そろそろ帰ろう

きみの声がきこえたよ

遅くなるから
もう帰ろう

たしかに
きみの声がきこえたよ

そろそろ帰ろう

きみの声がきこえてきたよ

雨が降るから
もう帰ろう

かすかに
きみの声がきこえたよ

いつも頼りにしてたんだ
正しいきみのアドバイス

きみの形は
もう消えてしまったけど

いまでも時々みみにするんだ

そろそろ帰ろう

冷めた声が

たしかにいま
きこえてきたよ



テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

静寂を増す箱の中で

後悔が猫の背中を突き刺していた。
けれども、それより遥かに速いスピードで化け物の影が猫を追っていた。
魔物のテリトリーを侵してしまったのは、自分だった。
必死の形相で、電話ボックスをよじ登った。
ここまでは登れる奴はいない…

けれども、化け猫はその巨体からは想像できない身軽さで透明な塔を制覇してしまう。
小さな猫は、飛び下りると今度は下のわずかな隙間に身を縮めると箱の中に逃げ込んだ。
化け猫は隙間から手を入れるのが精一杯だ。
やがて、あきらめて闇の中に帰っていった。

猫はその透明な箱の中で安堵のため息をついていた。
道行く人が不思議そうに、電話ボックスの中に取り残された猫を眺めていた。
それは、ショーウィンドウに飾られた猫のようだった。

「どなたか、猫はいりませんか…… おとなしい猫はいりませんか……」
風が唄っていた。
透明な箱の中で猫の目が輝く。
その横顔は、時に取り残された透明な旅人のようだった。




今日は誰も入ってこない
箱の中で話し手を待ってる

みんながみんな手の中に持っているから
みんなみんな去っていった

今日は誰も訪れない
一人分の透明な箱をつくって
たったひとりを待ってる

みんな小さな自由を手にして
歩みを速く世界を狭く変えていった
箱の前に並ぶ人たちは
もうみんな遠くに行ってしまった

昨日は誰もこなかった
箱の中で話し声を待ってる

みんながみんな自分を持っているから
みんなみんなみえなくなった

透明な箱は
一人分の澄んだ居場所をつくって
たったひとりで立っている

みんながみんな歩きながら話せるから
みんなみんな離れていった

今日は誰も入ってこない
足を止める人は誰もいない

手の中の声だけが通り過ぎていくだけ
箱の中では待ちすぎた静寂がざわめく

人の歩みは止まらない
明日もきっと箱の中で
ただ時だけが過ぎていく


テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

自分探しの迷子

「ここはどこ? 私は猫…」
小さな旅は混迷の真っ只中にあった。
あの雨音が懐かしく感じられるほど、今は遠くに来てしまった。
夜が訪れると共に猫も人間の近くに下りてきた。
たくさんの人間たちが、道を交差している。
ある者は買い物袋を抱えて、ある者はアイスクリームを見せびらかしながら…
自分を知っている者は誰もいなかった。
「ここはどこ? 私は猫?」
どこからも返事はこなかった。
けれども、不吉な予感が猫を振り向かせた。
その横顔は、お化けを見た時の猫のように固まっていた。
何かが猫を追ってきた。影のようなスピードだった。



どこまできたのかわからない
誰が敵だかわからない
どこに行ってもわからない

いつも手の上にあるものは
落ちてみないとわからない

変わらない

どこまで行っても変わらない
私が誰かは変わらない
私の想いは変わらない

わからない

どこで出会うかわからない
誰が味方かわからない
私が誰だかわからない

いつも手の中にあるものは
こぼれてみないとわからない

戻らない

ここがどこでも戻らない
お腹が空いても戻らない
傷つくまでは戻らない

わからない

たどった道さえわからない
どこまで行くかわからない
誰が誰だかわからない

いつも手に入れているものは
離れてみないとわからない

わからない

どこまで行ってもわからない
いつになるのかわからない
みんなみんなわからない

テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

一人ぼっちの朝

「どこをほっつき歩いているんだかねえ…」
朝が朝の中に朝の光を映し始めた。
木の上で蝉の嘆きが、花の上で蝶の薄さが風に舞った。
けれども、おばあさんはひとり気楽に水をまいている。
邪魔する者はひとりもいなかった。

「ここは人が多すぎる…」
あるいは犬が多すぎる。
猫は公園の階段を駆け上がった。
邪魔する者以外、ここには誰もいなかった。
高い所に行けば安全だ。
猫より高い所が得意な者はいないはずだし、それにも増してあの太陽に進んで近づいて行く者などいるはずがないのだ。
猫はひと時の安全を求めて駆け上がった。
その横顔は、朝が映し出した逃亡者のように焦りの色が浮かんでいた。
鳥がゆっくりと集まってきた。



朝早くに
形作るのは雲だ
話し出すのは鳥だ
届けられるのは風だ
歩きはじめるのは犬だ

朝の中を
離れていくのは夜だ

またゆっくりと朝が戻ってきた
夜よりも懐かしく夜よりも冷酷に

朝早くに
動くのは猫だ
色になるのは花だ
流れていくのは蝶だ
口をそろえるのは蝉だ

朝と共に
薄れていくのは夢だ

またゆっくりと朝が奪っていく
夜の毛布で包み込まれた孤独を

朝早くに
洗われるのは顔だ
揃えられるのは靴だ
挟まれるのはレタスだ
焦がされるのはトーストだ

目覚めた朝でなく

夜の終わりに訪れた朝が
早くも自分の居場所を奪っていく

また色と音を抱え込んで朝が戻ってきて

消えていった夜の後で映し出される

きみのいない世界が

テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

遠ざかる距離

本当に長い夜だった。
その夜はまるで一週間のように長く感じられる。
そんな夜…
おばあさんは、ちゃんと眠れているのだろうか?
猫は少しの間、唄うことを止め置いてきた世界のことを振り返った。
疲れた喉を気にかけるように、後ろ足で何度も首をさすってみる。
「いったいどこへ?」
唄は、届いた感じが今日もしなかった。
自分の声の小ささに少し気が滅入った。
夜が終わるまでにまだ唄わなければ……
けれども、夜はもう猫の声ほどに消えかかっている。
猫は別れのバラードを唄い始めた。
その横顔は、溶け始めた夜と共に明るさを増していった。
夏の朝が迫ってきた。



あなたのことを好きだけど
時々私は離れていく

あなたの唄が好きだけど
ずっとそばにはいられない

もう一度近づくために
今はあなたとさよならする

冷めたわけではない

だけど私は進まねばならない
本当の自分を探す旅の中へ

あなたの唄を聴きたいけれど
私は私を唄わなければならない

忘れたわけではない

だけど私は探さねばならない
私が唄うべき唄が眠る場所を

最初に私はひとりだった

だから時々ひとりでなければならない

あなたの唄を想うけれど
もう一度唄い出すために
時々元の場所を思い出さねばならない

逃げるわけではない

もう一度近づくために
今は少し離れなければならない

あなたのことを想うけれど
もう一度思い出すために
時々ひとりの場所に帰らねばならない

消えるわけではない

もっとあなたに近づくために
今は少し寂しくならねばならない


あなたの唄を好きだけど



だから私は離れていく



テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

眠れぬ夜を数えて

眠れない夜だった。
眠れずに長い夜。
夏の夜がこれほど長いとは…
いくつになっても眠れない夜はあるものだ。
それは猫のせいか、暑さのせいか…
猫のいないベッドは広々として海の真ん中のようだった。
けれども、さわやかな潮風の代わりに線香の香りが立ち込めている。
「猫が一匹…」
おばあさんは猫を一匹、数え始めて一匹でやめた。
それで十分。もうそれ以上は抱えきれない。
たとえ夢の中でも。
「お婆がひとり…」
おばあさんは自分を数えながらようやく夢に落ちていった。
その横顔は、もうすっかり夢世界の住人に似て穏やかだった。



寝苦しい夜に眠ることは
とても苦しい

窓を開けて迎えられるのは
さわやかな風ではない

逃げようか
秘境の地へ
張り付いてしまおうか

入ろうか
自分だけ
逃げ延びてみせようか

息苦しい世の中で生きることは
とても苦しい

心を開いて受け入れられる
人はどこにいるのだろう

逃げようか
卑怯者から離れて
張り裂けてしまおうか

開こうか
自分から
微笑みながら近づこうか

生き物はいつも

生きて眠って
眠って生きる

繰り返し繰り返し
同じようで違うループの中を
繰り返し繰り返す

私はいつか

本当の眠りに導かれて
元の場所に戻っていく

理由を知らされず
人は落ちる
浅い眠りから深い夢に

理由を求め
人は生きる
道を空をいつも毎日を

永遠と出会うまでの

儚い一瞬を

夢の一部のように

私は生きる




テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

夜を越えて届くまで

長い夜だった。
旅はまだ始まったばかりなのに、もうおばあさんの匂いは消えていた。
 
婆ひとり
猫の足音
耳澄ます
届いてくるは
遠くの花火

おばあさんの詠う易しい歌が遠くから聞こえてきて、猫は振り返りそうになった。
けれども、そうする代わりに猫は猫の歌を夜に向けて歌い出した。
猫の吐き出した音符が、花火の作り出した輪と共に広がり、落ちた。
すると猫は、次の歌を歌い出した。
その横顔は、花で作られたマイクのように夜の中に光っていた。
月が少し耳を傾けた。



塗り尽くされた夜を越えて
いつか誰かに届くといいな

風が打ち消してしまうから
小さな歌はすぐに消えていくよ

塗りつぶされた夜を越えて
いつかあなたに届くといいな

壁がせき止めてしまうから
すぐに消えてしまうんだ

言い尽くされた言葉を越えて
いつかどこかに届けばいいな

風が打ち消してしまうけど
また別の歌を歌い出すよ

私の歌は気まぐれだけど
それでもいつか届けばいいな

言い尽くせない想いを越えて
いつかはきっと届けばいいな

壁がせき止めてしまうけど
形を変えて歌い出すんだ

私の歌に意味はないけど
それでもどこかに届けばいいな

覆い尽くされた夜を越えて
いつかあなたに届くといいな


テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

駆け出した夜

月を横切る鳥を追うようにして猫は駆け出した。
猫という者は、時々は旅に出なければならないのだ。
すべての猫がそうというわけではない。
けれども、すべての夏休みの宿題がそうであるように、夏がどれほど挑戦的な夏であっても、
それは夏が終わる前に手をつけなければ満足のいく研究結果は得られないのだ。
そして猫は、少しのことで満足する猫でもなかった。
ようやく訪れた本当の夏に浮かび上がった月の下を、猫は一週間のような速さで駆け抜けた。
その横顔は、土曜よりの使者のように破滅的終末に向かっていた。
雲が突如として月を覆い始めた。



千切れる想いを抱いて
夜に裸足で駆け出した

持ち寄られる好意から
顔を背けて遠ざかる
泣きつけるものもない世界へ

靴も履かずに駆け出した

たったひとつの想いを置いて
私はひとり抜け出した

恵まれた温室の壁を
自分の手で切り裂いて
ひとかけらも巡ってこない世界へ

私はひとり逃げ出した

後から風が追ってきた

進んで自分を傷つけるために
黙ってあの場所を捨ててきた

前触れもなく雨が降り出した

そばで触れる手もなく逃げ出した

後から闇がつけてきた

ミニチュアの幸福を置き去りにして
汚れた空気に満たされるために

ミニマムの自分を取り出して
不確かな夜の中に逃げ出した

夜の中にいまはひとりで

進んでかなしみを近づけるために
ありあまる日々から離れてきた

いまはひとりで追いかける

夜はどこまで続いているのか

この足で確かめずにはいられない




テーマ : 詩*唄*物語
ジャンル : 小説・文学

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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
たいした意味などありゃしない


旅の途中の紙くずたち
今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

猫と婆とそんな横顔はリンクフリー
「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『折句ストレート』

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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