いなくなったきみ
2006-07-31 Mon 02:44
「戻ってこないねえ…」
両手に顎を乗せて、おばあさんは窓の外の夜を見つめていた。

足りないの
この場所にある
生活は
お婆のくれる
ご飯も愛も

猫の詠う歌が遠くの夜から聞こえてきたような気がした。
いればいつも怠けてばかり、あるいは邪魔をしてばかりだったけど…
いなければいないで、それは主役の消えたミュージカルのようにも感じられた。
第一幕におばあさんはひとりだった。
月が雲に逆らって流れていくのを空ろな目が追っている。
その横顔は、月の夜の下で我が子を待つ親鳥のようだった。
鳥が、月を横切った。



どこに行ってしまったの
猫はどこに行ってしまったの
なぜ今日は戻ってこないの
別の居場所を見つけたの

どこに行ってしまったの
私の友達どこに消えたの
なぜ今日も戻ってこないの
別の自分に目覚めたの

どこに行ってしまったの
私を置いて消えてしまったの
なぜ姿を見せないの
道に迷って戻れないの

どこに行ってしまったの
私を残して自由を選んだの
なぜ声がしないの
もう疲れてしまったの

どこに行ってしまったの
私の友達
どこに消えてしまったの

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