心 の 隙 間 か ら 出 て お い で
犬と鞄
2006-07-22 Sat 20:29
疎らに咲いたフタリシズカの影から猫はひとり道に飛び出した。
魚をくわえて人を引いて歩く犬と遭遇して猫は身構えた。
大きな人を引っ張ってすごいけれど、どうして魚なんかくわえているのだろう…
猫は犬から3歩離れた場所で空想を揺らしながら固まっていた。
けれども、それはよく見ると魚ではなく鞄だった。
犬は不思議な生き物を見るように、横目で猫を見た。
その横顔は、100点をとった子供のように自慢げだった。


心地よい夜風に揺られて
尻尾が楽しく笑ってる
口にしっかり挟んだ鞄
誰にも渡さない大事な鞄

半袖を突き刺す夜の風
けれど尻尾は揺れたまま
道行く人の視線を浴びて
しっかりくわえた小さな鞄

おばあさんは犬に引かれ
おじいさんがその後に続く
宝物をくわえて先頭を行く
尻尾は笑顔を絶やさない

花の影から猫が飛び出して
目を見開いて固まったまま
それでも構っていられない
いまは三人の大事な時間

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